林:司法試験を受けようとは思わなかったんですか。

平野:僕は大学に5年通ったんですが、その間に通算10秒ぐらいは考えたことあります(笑)。うちの親は、僕が就職活動してる気配もないから、てっきり司法試験の勉強をしてると思っていたみたいです。

林:お父さまは早くに亡くなられて、お母さまは苦労なさったんですね。

平野:そうですね。でも祖父母の家で育ちましたし、祖父は歯医者でしたから、シングルマザーでカツカツという状態とはちょっと違ってました。

林:お坊ちゃまだったんだ。京大の法学部に行った自慢の息子だから、お母さまは官僚か弁護士になってくれるものと思ったんじゃないですか。

平野:でも、僕はかなり変わった子だと思われていたので、半信半疑だったと思いますよ。

林:少年時代はどんな子だったんですか。

平野:小学生のときは本を読むより、外で野球やサッカーをやるほうが好きでしたね。天気のいい日に部屋で本を読んでる友達を見ると、「気持ち悪いやつだな」と思ったり。小学校の終わりか中学校ぐらいから本を読むようになって、三島由紀夫に夢中になりました。それからは一転して読書少年でしたね。

週刊朝日  2017年4月21日号より抜粋