放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、ふぐ料理店「臼杵(うすき)ふぐ山田屋」について。
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「臼杵ふぐ山田屋」と聞いて、「globeのKEIKOさんの実家でしょ?」という方は芸能通であると同時にグルメだと言えるだろう。
KEIKOさんは、国宝の臼杵石仏や、醤油の製造で有名な大分県臼杵市の生まれ。ふぐの漁獲量は全国的に見ても少ないほうだというが、臼杵には古くから、ふぐを扱う業者が多数あったことで、ふぐ文化が醸成され、「お値打ち価格」で堪能できるのだという。
東京・西麻布にある支店が圧倒的に有名になったのは、『ミシュランガイド東京2008』が発売された07年11月のことだ。
「東京は世界で最も星が輝く美食の街」と、当時、同ガイドの総責任者だったジャン・リュック・ナレ氏がコメント。星が付いた店のプロフィールに対し、ワイドショーやニュース番組が一斉に食いついたものだ。
そのとき、二つ星を獲得したのが西麻布の「臼杵ふぐ山田屋」で、「女将はKEIKOさんのお姉さん」と一気に広まった。
11年、三つ星店に昇格してからは7年連続でキープ。芸能人の顧客も多く、同じぐらい有名なのが、お取り寄せで「一日10食限定」の「ふぐ刺身セット」と「ふぐ鍋セット」なのである。
「“てっさ”は、青磁の大皿にキレイに並び、店で食べるのと変わらぬクオリティ」「なくてはならないコウトウ葱も長いままと刻みと両方」「もみじおろしもよい具合のピリ加減」と、薬味の充実ぶりや、「ストライクゾーン」だというポン酢の美味しさに言及しているのは、フラワーデザイナーで会員制美食倶楽部「ザ・ベストテーブル」を主宰している花千代さん。「鍋用盛り合わせの切り身も立派」、「白菜、茸類、春菊」「ひれ酒用ヒレ」も付いて「満足度が高いお取り寄せ」と絶賛だ。
そういえば、舞台に出演中の俳優さんや女優さんが、共演者と楽屋で鍋を囲んでいるのを見たことが。長期にわたる公演には鍋や炊飯器を持ち込んで自炊をするベテランが少なくないのだ。
差し入れする側のベテランも、「ちょっと変わった」「いいモノを」と趣向を凝らすもの。そういう場にも、「山田屋」の宅配セットは、「とても喜ばれる」と聞く。
春先は、一般のご家庭でも、さまざまなお祝い事があるだろうから、ちょっと贅沢に取り寄せるのもよし。グルメが揃うホームパーティーのお土産に持って行ったら、三つ星以上のポイントが付くことは間違いない。
※週刊朝日 2017年4月14日号

