「薬を替えたら2週間は続けて飲んでみて、効果が感じられるかどうかをさぐってください」(※写真はイメージ)
「薬を替えたら2週間は続けて飲んでみて、効果が感じられるかどうかをさぐってください」(※写真はイメージ)

 花粉の飛散量がニュースになる時期。2017年は昨年の4.4~11倍(ウェザーニュース)と発表された。不安を募らせる人も少なくないはずだが、新しい薬も登場している。

 花粉症はアレルギー疾患の一つだ。本来、免疫機能は細菌やウイルスなどの病原体に対して働くが、アレルギー疾患では、一般的にそれほど毒性のないものや、ほかの人にとってはアレルゲン(アレルギー症状を起こす原因物質)とならないものに対して過剰な免疫反応が起きてしまう。また、突然、発症するのも特徴だ。

 花粉症ではスギやヒノキ、カモガヤといった特定の花粉がアレルゲンになる。もっとも患者数が多いのが、2~4月に飛散するスギ花粉によるものだ。おもな症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみで、侵入した花粉を排除するために起こるのだが、重症になると仕事ができない、外出できないなど、生活に支障をきたしてしまう。

 山梨県在住の白川素子さん(仮名・53歳)は、30代の後半からスギ花粉症だった。自営業で仕事が忙しく市販薬で症状を抑えていたが、症状が強く出るようになったため、7年前に山梨大学病院耳鼻咽喉科を受診。抗ヒスタミン薬の「アレグラ」(一般名フェキソフェナジン塩酸塩)を処方してもらうようになった。

 抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンという物質の働きを弱める薬で、現在、花粉症治療の第一選択薬になっている。

 白川さんは2016年のシーズンにはアレグラの効果があまり感じられなかったので、今年1月、花粉飛散を前に同院の上條篤医師に相談した。昨年の夏に体調をくずした夫に代わって車の運転を任されるようになったこと、速く効く薬がいいことなどを聞いた上條医師は、16年11月から保険で使えるようになった新薬の「ビラノア」(同ビラスチン)をすすめた。

 ビラノアも抗ヒスタミン薬の一つだが、薬の血液中の濃度が1時間でピークになり、効き目が速くあらわれるのが特徴だ。加えて、現在使われている抗ヒスタミン薬のなかで、副作用である眠気がもっとも起こりにくい。山梨大学病院では、1月時点ではまだビラノアを扱っていなかったため、取り扱いのある近くのクリニックを紹介した(山梨大学病院でも3月9日から処方開始)。

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