林さんが使用するアブラは、アマニ(亜麻仁)油と純正ラード、バターの3種類だけだ(撮影/写真部・小原雄輝)
林さんが使用するアブラは、アマニ(亜麻仁)油と純正ラード、バターの3種類だけだ(撮影/写真部・小原雄輝)

 バターやラードは健康を害するリスクを高め、オリーブオイルやごま油など植物油はヘルシー──。そんなアブラの“常識”が今、揺れている。

 12月上旬。待ち合わせた喫茶店に現れた料理研究家の林葉子さん(62)に、記者の目はくぎ付けになった。乾燥する季節にもかかわらず、肌は潤ってツヤツヤ。シミや小ジワもほとんどない。60代とは到底思えない「美肌」の持ち主だった。

 記者が思わず「肌がきれいですね」と話しかけると、「アブラを厳選するようになってから、肌の調子が変わったんです」と笑う。

「化粧水や乳液などは使っていません。職業柄、水仕事が多いのですが、手荒れをしなくなりました。昔はハンドクリームが手放せなかったんですけれどね」

 娘のアトピーをきっかけに、食と健康との関係に興味を持つようになった林さん。10年前に再発した娘のアトピー治療のため、しばらくアブラを断つ「断油」をしたが、その後、厳選したアブラだけを使う「選油」生活に切り替えた。アブラも正しく選べば、体によい効果をもたらすことを知ったからだ。

 すると、娘の再発アトピーはみるみる改善。30年来続いた夫の花粉症も消失した。体調の変化は林さんにも表れた。ハードスケジュールが続いても体調を崩さなくなり、風邪もひかなくなった。肌が潤うようになったことは思わぬ福音だ。

「もう、違うアブラは使えません」(林さん)

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