県庁や町役場の職員が愛用しそうな品だが、実はだれでも地元の書店や郵送で買える。41県の手帳の特徴が左ページ表で、各県ともに情報に工夫をこらし、お得さや便利さを競う。

 その一つが天気情報だ。

 新潟や鳥取は過去3年分、本は5年分、岩手や広島は10年分の地元の天気を載せている。「この日は3年連続で雨だから、今年も天気が悪いかも」。こんなふうに、お出かけの予定を組む参考となりそうだ。

 さらに、観光施設の割引パスポートになる手帳も。

 茨城、富山、滋賀、広島、山口、長崎、鹿児島などの県民手帳は、県内の美術館や観光施設で見せると割引を受けられる。

 宮崎の手帳はスマホをかざすと、ドローンで撮影した観光名所の動画を見られるAR(拡張現実)機能付き。山形は、県産米「つや姫」が抽選でプレゼントされる特典も付いている。

 全国画一の普通の手帳とは違い、県民手帳は地域の個性まるだしだ。

 長野は、県民の会合でよく歌われる県歌「信濃の国」を表紙見返しに載せている。愛媛は地元の魚と果樹の各15種を写真で紹介し、獲れ頃や食べ頃カレンダーを掲載。高知は、南海トラフ地震への七つの備えや災害から身を守る三つのポイントを記し、普段の心構えの大切さを訴えている。

 そして、県民手帳の何よりの魅力は手頃な価格。

「手帳白書2016」(高橋書店)によると、手帳の平均購入額は男性約2300円、女性約1500円。県民手帳は500円程度が多く、お買い得感がある。

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