「地方創生」など、地域の個性を競う時代。県民手帳は地元をPRし、愛着を持ってもらう品にもなる。

 三重の県民手帳は一度廃止されたが、利用者の声に応えて15年版から10年ぶりに復活した。伝統工芸品の伊勢木綿を表紙にあしらい、親しみやすい和柄。手触りもよく、年配女性らに好まれそうなデザインだ。

 長野は発行部数が6万8千部で、全国最大規模とみられる。県統計協会の担当者は「他県の県民手帳を見習って目次を見やすくするなど、参考にしていますね。ただ、基本的なものは変えません。それが長く売れ続ける理由の一つかもしれません」。

 一方で、こうした県民手帳がないのは、北海道、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫と都市部が目立つ。都市の住民には、存在があまり知られていないわけだ。

 ロフト広報・渉外部部長の阿部武さんはこう話す。

「転勤などで知らない県に行く方はガイドブックになりますし、ご両親や祖父母に、出身県の手帳を贈ってもいい。用途はいろいろです。スマホも便利ですが、自分で書いて記録を残したいニーズもあり、手帳への関心は高くなっています」

 まだ来年の手帳を買っていないあなた。県民手帳も意外とおすすめですよ。

週刊朝日 2016年12月9日号