総務省資料をもとに、1人あたりの平均寄付額を算出すると、10万円前後が多い。ただ、東京都港区38万円、東京都世田谷区18万円など、突出して高い自治体もある。高額所得者ほど、ふるさと納税で差し引かれる税額が多いため、寄付額も大きくなる傾向だ。

 寄付した人数を人口比でみると、1~2%前後の自治体が多い。一方で、港区は5%近く、世田谷区は3%近くもいて、関心の高い人が多いようだ。

 ふるさと納税をする人が多い都市部の自治体は、税収が減り、悲鳴をあげ始めている。東京23区でつくる特別区長会は、ふるさと納税で2016年度に失われる税収を129億円と試算する。100人規模の区立保育所109カ所分の年間運営費にあたるといい、影響額は前年比5.4倍に膨らんでいる。

「寄付は建前で、(都市と地方の)税源偏在是正の目的が明白」「返礼品競争が過熱している」などと、区長会は制度のあり方の再考を求めている。ふるさと納税を使う人が増えれば、こうした声は都市部のほかの自治体へと、さらに広がりかねない。

 個人の生活防衛策としては、制度の恩恵を受けられる今のうちに、最大限活用するのが得策のようだ。

週刊朝日 2016年11月25日号より抜粋