「球団が払える人件費の上限になるでしょう。現在2億円と推定される大谷の年俸はあと2~3年でその額に達してしまうはずです。ポスティング制度の入札金は減る方向だし、制度そのものがなくなる可能性もありますから、大谷の渡米は意外と早くなるんじゃないですか」(前出デスク)

 投打で大谷頼みのチームは“大谷翔平ファイターズ”と揶揄(やゆ)されるほど。他球団のスコアラーからは「手が付けられない」という意味で「早くメジャーに行けばいいのに」と、ぼやきの声が漏れ聞こえてくる。大谷が日本球界で「やり尽くした」と思う日も遠くはないだろう。そして、彼はメジャーでも活躍するに違いない。

「交流戦で大谷が5番に座り、そのあとの打順に陽岱鋼が入ったとき、『ダイさん、ピッチャーの後ろですか』とからかわれたと、当の陽が『翔平、ヒドイんだよ』と笑いながら言ってたことがあったんです。大谷って先輩にそんなこと言っても無邪気で嫌みにならないんですよ。ただ、中田には気を使ってますから、そんなことは言わないですが(笑)」(同前)

 ただ、第3戦で大谷が黒田から二塁打を放ち、ガッツポーズしたのはいただけない、という声が周囲から聞こえてきた。

 投打ともセンスの塊のような二刀流には脱帽するばかりで“まるでマンガのよう”と例えられる大谷。しかし、それはあくまで技術の話だ。今回の貴重な対戦で、黒田の“心”を習得できただろうか──。

 黒田の花道となった2016年の日本シリーズ。2人の対戦は、さらなる大舞台を見据える大谷の成長のためにも必然であったのだと思えてならない。

週刊朝日2016年11月11日号