第3次安倍改造内閣の閣僚では、確認できているだけでも20人中13人が日本会議国会議員懇談会に所属。安倍政権へ強い影響力を持つことが、この事実からもうかがい知れる。

 この組織が今、大きな注目を集めるようになったきっかけは、著述家の菅野完(たもつ)氏が5月に出版した『日本会議の研究』(扶桑社新書)をめぐる騒動だ。

 当の日本会議側が同書の発売直後、版元の扶桑社社長に対し、内容に事実誤認があるなどとして出版停止を申し入れたことが発覚。初版8千部に過ぎなかった同書の存在がクローズアップされたのである。

 この新書は増刷を重ね、現在4刷12万6千部のベストセラーになっているという。扶桑社の担当者も「予想以上の売れ行き」と驚きを隠さない。

 都内の大手書店の新書ランキングでは軒並み上位。どの書店でも関連本とともに、目立つ位置に大量に平積みされていた。

「発売してからとにかく売れ方が異常。在庫が瞬く間になくなって、『いつ入るんだ』と問い合わせが相当数来た。そもそも新書は政治関連がいちばん売れるジャンルですが、それにしても異常な売れ方をしてますね」(都内大手書店担当者)

 今後、『日本会議の全貌』(俵義文著、花伝社)、『「日本会議」の正体』(青木理著、平凡社新書)など関連本が続々と発売される予定だ。

扶桑社に経緯を尋ねてみたが、「現在係争中の案件にも触れるためコメントは控えさせていただきます」(担当者)とのこと。

 日本会議にもどんな抗議をしたのか問い合わせたが、同会広報部は書面で以下のように回答してきた。

「長年扶桑社の出版事業の普及拡大に協力関係のある本会の立場で扶桑社社長に申し入れたものです。申し入れ書の内容がインターネットを通じて即時公開されたことは極めて遺憾」

「申し入れ内容の詳細、および具体的箇所の開示については現時点では差し控えます」(本誌・小泉耕平、秦 正理)

週刊朝日 2016年6月24日号より抜粋