その翌年、「ミス・サイゴン」のキム役にキャスティングされ、芝居して、歌って、踊るミュージカルの魅力に取り憑かれる。劇団四季出身でも宝塚出身でもない、歌がうまくて華のあるミュージカルスターとしてめきめき頭角を現し、今や翻訳物からオリジナルミュージカル、コンサートに引っ張りだこ。年に300本ものステージに立ったことも。

「今35歳ですけど、私がアップするフェイスブックの内容って、いつまでも青臭いというか、鼻息が荒いので、同世代との温度差がすごいんです(笑)。いろいろお声をかけていただく機会は増えましたが、一般的な知名度はあまり高くない私が、でも“まだまだいける!”としか思っていない。この自分の楽観的な感じは、一種の才能だと思ってます」

 新妻さんがミュージカルに求めているのは、「胸が痛くなるような魔法の瞬間」。泣きたいのか痛いのか苦しいのか幸せなのかわからない。でも、歌だけがくれる衝撃が、そこにはあるのだそうだ。

「“今日ここに来た意味があった”と思えるような、魂のこもった歌が聴けるのがミュージカル。今回、私が出演する『アイ・ラブ・ミュージカルズ』は、世界で活躍するシンガーが本気で歌いに来ます。絶対に衝撃を感じられること請け合いです」

週刊朝日 2016年6月3日号