新妻聖子1980年生まれ。愛知県出身。2003年「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役で初舞台。豊かな表現力と美しい歌声が高く評価される。今秋、全国7カ所を回るコンサートツアー開催(撮影/植田真紗美、ヘアメイク/酒井夢美)
新妻聖子
1980年生まれ。愛知県出身。2003年「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役で初舞台。豊かな表現力と美しい歌声が高く評価される。今秋、全国7カ所を回るコンサートツアー開催(撮影/植田真紗美、ヘアメイク/酒井夢美)

「一回、大学2年生のときに“夢やぶれて”いるんです」

 父親の仕事の都合で、11歳からの約7年間をタイのバンコクで過ごした女優の新妻聖子さん。幼い頃から、将来はポップシンガーになりたいと思っていた。帰国して、大学生になってからは、デモテープをレコード会社に送るなどして、積極的に歌手になる道を探った。

「18歳と若くもなく、曲が書けるわけでもなく、特別歌がうまいわけでもない。当時の私はすごく中途半端でした。どこも私を拾ってくれなかったのは、当然だったと思います」

 せめて音楽のそばにいたい。大好きな「ミュージックステーション」に関わる道はないだろうかと、テレビ朝日のアナウンサー試験を受け、最終選考まで残った。時を同じくして、TBSの「王様のブランチ」のリポーターの話が飛び込み、自分のその先の進路について迷うことに。

「そのとき相談した10人中10人が、『アナウンサーになったほうがいい』と言いました。でも、私はまだ、歌手になる夢を諦められなかった。会社員になったら、もう歌えない。でも1%の可能性があるならと、1年半だけブランチリポーターとして活動することに決めたんです」

 その間に、「レ・ミゼラブル」のオーディションに合格し、初めてミュージカルの世界に足を踏み入れる。

「それまで私、ミュージカルを観たことがなかったんです。ただ、『あなたの歌いたい歌は何?』って聞かれても答えられなかった私が、ミュージカルと出会うことで、答えを見つけることができた」

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