横綱時代の“気迫”の表情 (c)朝日新聞社
横綱時代の“気迫”の表情 (c)朝日新聞社

 大相撲の立田川親方(元小結豊真将)の襲名披露が1月30日、東京・両国国技館で行われ、断髪式では貴乃花親方(元横綱)ら約300人がはさみを入れた。

≪豊真将という人柄、息づかいをこれからも大相撲界の領域に遺せてあげる事ができましたならば、私なりの本望と考えておりまさに、日本にあるここにしかない世界唯一の相撲道に栄華をもたらし、全体一致でここに生きる喜びや生き甲斐を共感してゆくことが伝統と伝承になると信じております(略)貴乃花光司≫

 詳しくは後述するが、これは襲名披露後、貴乃花親方がさる有力後援者に送ったメールの一部だ。

 しかし、初場所後の1月28日、親方衆を集めた年寄総会に出席した貴乃花親方は、“別の顔”を見せていた。八角理事長(元横綱北勝海)の演説があった後、協会運営上の問題について一部の親方から“物言い”の声があがり、会場は騒然となった。この時、ある事件が起きたという。協会幹部が証言する。

「貴乃花親方が同調する山響親方(元前頭巌雄)らとともに『どうなっているんだ!』などと声を荒らげるのを、先輩の友綱親方(元関脇魁輝)が『話が飛びすぎだ』と、いさめた。すると、貴乃花親方は激怒した様子で『なに~! 何が飛びすぎだ!』などと言いながら、友綱親方に詰め寄っていった。1メートルくらいの距離まで来てつかみ合いになるのではないかとハラハラしたところで、錣山親方(元関脇寺尾)が貴乃花親方の肘をつかんで制止しました」

 貴乃花親方らが怒ったのは、この1週間ほど前、山響親方が理事選に出馬するため、空席となった協会評議員に八角理事長がある協会OBを選任しようとしたことに端を発する。これに対し、貴乃花親方が猛反発していたのだ。

次のページ