「風邪」かと思ったら…(※イメージ)
「風邪」かと思ったら…(※イメージ)

 国立感染症研究所(感染研)は今年初めて、ノロウイルス感染症の流行予測を発表した。感染研ウイルス第二部第一室室長の片山和彦さんによれば、今年はほぼ新型といえる遺伝子型のノロウイルスが猛威を振るう可能性が高いという。

 ノロウイルスには多くの遺伝子型があり、そのうち最も多く感染者を出すものを「主要流行株」という。

「昨年まで主要流行株だったGII.4というノロウイルスは、1990年代に主要流行株だったGII.3と2000年を境に入れ替わり、06~07年はノロウイルスによる胃腸炎の史上最大の流行を、12~13年には史上2番目の大流行を起こしています。そして06年から約10年後の今年2月から主要流行株が、これまでのGII.4からGII.17に入れ替わりました。このことは、これまで以上の流行をもたらす可能性を示しています」(片山さん)

 ノロウイルス感染症は「感染性胃腸炎」のひとつだ。感染性胃腸炎の原因となる主な病原体は、細菌、ウイルス、寄生虫だ。そのうち冬場に多く発症するノロウイルスの感染による患者数が、年間を通じてもっとも多い。

 東京都在住の岡部美紀さん(仮名・50歳)は昨年12月、要支援状態の義母幸恵さん(仮名・79歳)が「おなかにくる風邪」をひいたと思い、自宅で看病をしていた。下痢をしていたので飲み物をすすめたが、あまり飲みたがらない。脱水してはいけないと、無理にお茶を飲ませたところ吐いてしまい、めまいなどの脱水症状が表れたため、車で近くの病院に連れていった。

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