「封書が届いたときは『ご応募ありがとうございました。この度は残念ながら……』という通知だと思っていたら、まさか大賞。長生きしていたらこういうこともあるのかな。初めは何かの間違いだと思いましたよ(笑)」

 大賞の賞金は100万円。使い道はというと、

「いらないって訳ではないんだけど、はずみすぎ(笑)。少額でも慈善団体に寄付ができたらと思っています」

 一方、最年少受賞者(佳作)は、政田鮎香さん(8)。

≪かみさまへ
 まいごになったら、かえり道を教えてください。
 わたしだけじゃなく、犬のクーちゃんや、まいごのみんな、おじいちゃんおばあちゃんにも、道を教えてあげてください。≫

 手紙の書き方を小学校で習い、新聞広告を見て応募した。認知症で迷子になってしまう高齢者がいることをテレビなどで知り、気になっていたという。

「みんな無事におうちに帰ってほしいなと思って、このはがきを書きました」(政田さん)

 表彰式で堺屋氏は、はがきの魅力をこう話した。

「年賀状以外で、はがきを書かない人が多いですが、はがき文化は明治時代から続いてきたもの。記憶にも記録にも残って、思い出にもなるので、はがき文化をぜひ残したいですね」

 何気なくつづったはがきが、かけがえのない思い出の一枚になるかもしれない。

週刊朝日 2015年10月30日号