楽器の演奏で脳を活性化! 認知症の最新音楽療法 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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楽器の演奏で脳を活性化! 認知症の最新音楽療法

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一人でいると美しい音色を出したくなる(撮影/写真部・岸本絢)

一人でいると美しい音色を出したくなる(撮影/写真部・岸本絢)

「買います。自宅でも練習してみます」

 とあとさきも考えずに。

 折山さんがパンフレットを持ってきてくれた。新品だと特別注文をして作ってもらうのでやや高い。手作りで弦を張る木製部分が総ヒノキ(42弦)だと6万5千円。ヒノキと合板(32弦)だと3万円。総ヒノキグランド(44弦)は7万5千円。

 やはり材料や大きさによって値段が違ってくる。それにしても中古だと3分の1以下だからお買い得だ。「試しに1週間、ご自宅に持ち帰ってみては?」と勧められた。

 サイズは約60センチ。ケースに入れて楽に持ち運べる。しかし、自宅で弾いたりしたらどうなるだろう。大変なことになると思う。救急車やパトカーのサイレンが聞こえても怒りだすチャイ(うちの室内犬)は怪しい音だとほえまくり、妻は迷惑顔をするだろう……。

 成り行きにまかせるほかないが、音楽嫌いのぼくは折山マジックにかかったらしい。楽器を手に入れようとしているのだ。自分の知らなかった音楽の才能の芽生えかも、とか不遜な考えまで抱きかけている。

 お言葉に甘えて教室備え付けのプサルタリーを借りて持ち帰った。試しに高い音を出してみる。チャイはワンといったが、騒ぎ立てることはなかった。案外、彼はぼくの音楽の才能をわかっているのかもしれない。妻も珍しく、

「いい音ね。まじめに練習してみれば」

 うまくなれるものかどうか自信はなかったが、うれしい励ましと思うことにする。

週刊朝日  2015年8月28日号より抜粋


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