2年ぶりのオリジナルアルバムは、全編ナッシュビルとLAで収録された。昨年は、SMAPに提供した曲で紅白歌合戦に出演、アンジェリーナ・ジョリー監督の「UNBROKEN」では俳優としてハリウッドデビューを果たすなど、その名が広く世間に知れ渡った一年だったが、多忙な毎日の中で、アイデンティティークライシスのようなものを経験していたという。

「去年4度目のワールドツアーを経て、ロサンゼルスに移住して、生活環境が激変する中、ギターに触れる時間さえ十分にとれないまま、自分が他者と違うことを受け止め切れなくなっていたんです。今年に入って、アルバムの制作をスタートさせてやっと、“人と違っていていいんだ。むしろ、それがいいんだ”って改めて思えるようになりました。それぞれの違いを受け入れることが共存、ひいては人を愛するということに繋がるんじゃないか、と」 

 自分が関わるモノや人を通して、世界がもっとよくなっていけばいい。娘が生まれてから、真剣にそんなことを考えるようになった。

「老いや経験は、確実に人間性を向上させると思う。老いこそが学び。学びこそが人生。人生は僕にとって、常に“学び続ける道”なんです」

週刊朝日 2015年6月12日号