アマ躍進? 東尾修が新人のレベルが上がった理由を解説 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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アマ躍進? 東尾修が新人のレベルが上がった理由を解説

連載「ときどきビーンボール」

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週刊朝日#東尾修

楽天の安楽投手も注目の新人 (c)朝日新聞社 

楽天の安楽投手も注目の新人 (c)朝日新聞社 

 オープン戦が始まったプロ野球界。東尾修元監督は、開幕までの楽しみを教える。

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 プロ野球のキャンプ、オープン戦を見てきて、今年も楽しみな新人が各球団にいるよな。DeNAは二遊間の開幕先発を新人が務める可能性がある。巨人にも社会人から入った高木勇人、日大から入った戸根千明など、面白い選手が戦力に加わってきそうだ。

 独立リーグからのドラフト指名が多くなってきたし、大卒も東京六大学や東都だけでなく、地方大学からも有能な選手が輩出するようになった。高校野球もかつては都道府県によって野球のレベルに差があったけど、今やどこが勝ってもおかしくない時代。全国どこにいても、プロに入る道筋は無数にある。

 かつて、高卒で有能な選手はプロに入ったほうが野球が上達する近道だった。野球で勝負するなら、大卒や社会人よりも、早くプロに入って──という考え方が高卒の基本だった。アマチュアの指導者とプロの指導者の技術面での指導力に差があったからだ。

 でも、今は違う。プロアマの垣根が低くなり、プロ経験者が短期間の研修で、高校や大学でも指導できるようになった。アマでもプロの1軍で戦うレベルには何が必要か、を知ることができる。そして、アマチュアの世界は、仕事であったり、学業であったりと幅広いバランス感覚も養える。野球以外の世界を知ることは、人間力の形成で意味を持つ。

 プロは完全実力主義。結果を出した者が、年齢に関係なくはい上がっていく。その過程を考えると、一概に良いという訳ではない。1軍で少し結果を残した選手は、次はもっと大きな結果を求められる。本当の一流の才能を持った別格の選手ならともかく、自分の野球人生を長期的視点で考えるよりも、目先の1試合、1打席を考えてしまう。特に若い選手はなおさらだ。毎年のように才能あふれる選手がプロに来るから競争も激しい。

 その点、アマチュアは、いろんな立ち位置の選手がいる。「○年後にプロに行きたい」と考える選手や、「仕事と両立して野球を続けたい」と思う者もいる。大会での結果はもちろん求められるが、どちらかといえば個人の長期的視点に立った形でトレーニングを積める環境にある。そこにプロの世界、厳しさを知った指導者がいる。高卒選手も即プロ入りを考えなくても、自分の目的や成長度も考え、選択の幅を広げて考えられるようになったのは良いことだ。

 2月の上旬に社会人野球・セガサミーの宮崎でのキャンプを見に行った。元ロッテの初芝清監督の指導も、プロの打撃コーチと同じく高いレベルで話をしていた。練習一つとっても、効率的で意図のある練習を行っていたよ。

 話を戻そう。キャンプ、オープン戦を通じて、結果を出してきた新戦力は、ここからが本当の生き残りレースになる。立場が確立されている実績ある選手は、3月中旬から確実に状態を上げる。例えば、主力投手は最初の実戦では相手打者のことより、自分の納得いく球が投げられているかなどの確認作業を行っている。だが、開幕直前になってくると、打者の弱点を突き、駆け引きや試合の流れを感じながら投げるようになる。

 ラストの勝負を勝ち抜いて、どれだけの新戦力が開幕1軍に残れるか。ペナントレース開幕までの楽しみの一つである。

週刊朝日 2015年3月20日号


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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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