小保方晴子氏 (c)朝日新聞社 @@写禁
小保方晴子氏 (c)朝日新聞社 @@写禁

 今年も一年を振り返る時期がやってきた。戯作者で作家の松崎菊也さん、漫画家のやくみつるさん、コラムニストのペリー荻野さんのお三方に、今年のニュースについて、存分に語り合っていただいた。

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ぺリー:やくさんは小保方晴子さんに注目しましたね。

やく:私は一貫して、小保方さんを擁護しています。かみさんには「あなたはインテリ女に弱い」と言われるんですが、まことにそのとおり。疑惑に答えるため4月に開いた会見で発した、「STAP細胞はあります」という言葉が新語・流行語大賞の候補になりましたが、私はそれより、「STAP細胞は200回以上作製に成功した」という言葉に重きを置きたい。検証実験の結果はまだ公表されていませんが、201回目の成功を待てばいいだけです。

ぺリー:小保方さんの「レシピのようなものはある」という発言はすごいと思いました。科学者は、レシピとは言わないでしょ。かっぽう着でレシピですからね。

やく:NHK「きょうの料理」の、♪チャンチャカチャカチャカチャンチャンチャン、という音楽をかけながらチャッチャとできてしまうような。

松崎:あの小保方バッシングの激しさは、科学の世界が男社会だということでしょうね。若い女性が一躍、日の目を見たことへの嫉妬を感じました。

ぺリー:実験をしたのがおじいさんだったら、もう許してあげよう、となりますよね。自信満々な若い女性を世間がいったんは大絶賛して、疑惑が出ると手のひらを返した。その振れ幅が怖いなと。結論が出る前に、亡くなられた方(理化学研究所の笹井芳樹氏)がいたことも残念でした。

やく:科学者のキャラクターの特異さが注目されたといえば、ノーベル賞を受賞した赤崎勇先生、天野浩先生、中村修二先生。この3方は、これまでの受賞者と比べるとはるかに漫画のネタになりました。授賞式を前にしたストックホルムでの会見で「今年一年を漢字ひと文字で表して」と質問されて、中村先生は「ふた文字でいいですか?」と言って「感謝」と言った。それはキャラが違うでしょ!「反骨」とか「怨念」とかでなければ。

ぺリー:キャラの特異さで言えば、2月に発覚した佐村河内守氏のゴーストライター騒動。3月の記者会見に、佐村河内さんがロングヘアをばっさりと切り七三分けで現れた。アーティストが普通の人に変身したのが衝撃的でした。

松崎:あれは剃髪ですよ。アーティストを降りましたという意思表示でしょう。私、佐村河内守って字面を目にしたとき、江戸時代の人かと思いました。「さむらかわちのかみ」かと。

やく:ゴーストをしていた新垣隆さんは、その後、まさかの転身を遂げましたね。バラエティータレントになって、「女性セブン」(12月4日号)のグラビアでモデルにもなった。次は、ラジオのパーソナリティーも務めるようです。多忙になったら、今度は佐村河内氏がゴーストに回らないと。

ぺリー:次は佐村河内さんが、自分で書いた曲を発表するとか。

松崎:指示書を書けたんですからね。こういうふうにしてと具体的に指示して、あそこまでの曲を作ってもらうっていうのは、実は大したもんですよ。舞台の演出家なんて、自分では脚本も書けなくて、「こんなのやって」と具体的な指示もなしに丸投げする人がたくさんいます。

週刊朝日  2014年12月26日号より抜粋