日本国民の4人に1人は「頭痛もち」といわれる。慢性頭痛にはいくつかの種類があるが、とくに片頭痛(へんずつう)は日常生活への支障が大きく、つらい痛みを我慢している人も多い。正確な診断と適切な薬の選択が症状改善のカギとなる。

 トリブタン製剤は2000年にはじめて保険適用となった薬で、片頭痛の第一選択となる。強力な血管収縮作用を持つ神経伝達物質の一つ、セロトニンの受容体に直接作用する。トリブタン製剤には「効き目が早く表れる」「長時間効果がある」など特徴が異なる5種類の薬があり、錠剤、注射剤のほか、水なしで飲める口腔錠、鼻にスプレーする点鼻薬、自分で注射できる自己注射キットなどがある。

「自分に合った種類の薬を医師に処方してもらい、痛みが出始めたらタイミングを逃さず早期に使用することが重要です」(獨協医科大学病院神経内科・平田幸一医師)

 一方、抗うつ薬、カルシウム括抗薬、抗てんかん薬、ベータ受容体遮断薬などには頭痛を予防する効果がある。近年、それらの中から相次いで片頭痛などの慢性頭痛にも保険で使えるものが出てきた。

「精神不安症状の強い人は、抗うつ薬を併用すると、片頭痛発作の頻度や強さを予防的に減らすことができます。予防薬で発作を起こりにくくし、痛みを軽くする治療法が、今後、より広がるでしょう」(同)

週刊朝日 2013年6月21日号