「冬のソナタ」が2003年に日本で初放送され、韓流ブームが起こってから10年。竹島問題でブームは下火になったといわれる一方、韓流は日本に根強く定着したともいえる。この間、日韓両国には、エンタメの交流とともに、あつれきやギャップも生まれた。業界の裏を知り尽くす日本の韓流担当者たちが、ホンネを吐いた。

――10年でビジネスではどんな変化がありました?

B(韓流映画、ドラマ関係者):以前は韓国からプロモーションのための短期来日では興行ビザを申請しないことが多かったんですが、K-POPの隆盛で厳格になりました。日本側は韓流をきちんとビジネスとして認める一方、一種の規制も始めたんですね。韓国は日本のようには先の計画を立てないお国柄。ビザ取得に1カ月ほどかかるから、来日のスケジュール調整がもう大変です。

A(韓流音楽関係者):音楽著作権など権利の問題では、「冬ソナ」がビジネスになった瞬間から韓国側の目の色が変わりましたね。その前は権利の「け」の字も言わなかったのに、いろんな人が権利を主張し始めた。「冬ソナ」後の数年間で「韓流はカネになる」という概念が定着し、残念なことに、文化を広めることより儲けることを優先する考えが一部に浸透してしまった感じがするんです。

C(韓流雑誌編集者):出版の権利もそう。「冬ソナ」直後は1万4700円のペ・ヨンジュンの写真集が15万部売れるなど、人気スターの高額の写真集が次々に何万部も売れる熱狂状態でしたからね。日本側が提示した印税は破格だったんですが、韓国側は日本の出版界のルートを通さず、韓国で製作して輸出、独自に販売したこともあった。初動から出版ビジネスの常軌を逸脱していましたよ。

E(韓流ライター):日本側も人気スターが出てさえいればいいという状況が続いてきた。人気スターが出ていれば、製作前でろくに中身がわからないドラマでも高額で買われた。でも最近は日本の視聴者の目も肥えてきて、内容がよくないとヒットしません。

C:「冬ソナ」後のバブルがはじけ、2008年ごろ少し状況が落ち着いたのに、2010年以降、チャン・グンソクやK-POP人気でまた一気にドラマ放送権料などが高騰したんです。

E:スターの出演料ばかりが跳ねあがり、韓国の製作現場も悲鳴をあげています。

週刊朝日 2013年5月24日号