宮城や福島に大きな傷跡を残した東日本大震災。一方で、東京など関東一円でも住宅や家財に被害を受けた人がいる。その場合、確定申告で税金を取り戻すことができるという。その一般的な手段「雑損控除」を税理士が解説する。

「火災、地震、津波、台風で住宅や家財に一定額以上の被害を受けた人は、所得税を減らせます。あまり知られていないことですが、東日本大震災によって、東京でテレビや冷蔵庫が壊れた場合も対象になります」(角田圭子税理士)

 対象になる住宅や家財は「生活に通常必要なもの」。このため、別荘や絵画、骨董品、貴金属などは対象にならない。申告する際には、壊れた物の写真など損害を証明できる資料などを付けるとよいそうだ。

 200万円程度の被害があった場合、一般的な収入の家庭であれば、所得税が15万円程度戻ってくるという。

 こんな優遇策もある。

「損失額が大きくて所得額から引き切れない場合は、特例として、翌年以降5年間繰り越して差し引けることになりました。さらに、前年(2010年)にさかのぼって還付を受けることもできます。震災で11年の所得が大幅ダウンした場合など有効です」(菊池美菜税理士)

 損失金額が時価の2分の1以上といった要件を満たせば、雑損控除ではなく「災害減免法」による税の軽減措置を選択することもできる。所得が500万円以下の場合、所得税は全額免除だ。

「ただ、損失額が大きい場合に翌年以降に繰り越せる雑損控除に対し、災害減免法はその年だけしか使えません」(菊池氏)

 どちらが有利かは税理士に相談して決めよう。

※週刊朝日 2012年2月24日号