竹中夏海さん
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竹中夏海さん
竹中さんの最新刊『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』
竹中さんの最新刊『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』
竹中さんの前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』
竹中さんの前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』
PASSPO☆
PASSPO☆
PASSPO☆のアルバム『TRACKS』(ファーストクラス盤)
PASSPO☆のアルバム『TRACKS』(ファーストクラス盤)
夢みるアドレセンスのアルバム『第一思春期。』
夢みるアドレセンスのアルバム『第一思春期。』

 年末年始、アイドルライヴを浴びるように見た。

12月27日:アップアップガールズ(仮)@大阪BIG CAT
12月28日:アップアップガールズ(仮)@名古屋DIAMOND HALL
12月29日:夢みるアドレセンス@東京国際フォーラム ホールC
1月1日:PASSPO☆@東京ドームシティホール
1月11日:虹のコンキスタドール@新宿BLAZE

 どれも個性豊か、見ても聴いても踊っても楽しいステージだった。以上全グループのダンスに関わっているのが、振付師の竹中夏海(たけなか・なつみ)さんだ。しかも20日には2冊目の著書『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』(ポット出版)もリリース。これがまた、読みやすくて楽しい内容なのだ。大まかにいえば「アイドル・シーンの盛り上がりを女性の視点で読み解く」「女性ファンが実際にどのようにアイドルを楽しんでいるのかを紹介する」というコンセプトなのだが、ぼくのような男にとっては目からウロコの記述も多々あり、なんだかすごく勉強になった。

 これはもう、お話をうかがうしかないだろう。1月にしては暖かな午後、貴重な時間を割いていただいた。

――2年ぶりの新著、ご出版おめでとうございます。前作『IDOL DANCE!!!: 歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい』が初めて店頭に並んだ時はどんな気分でしたか?

竹中 すごく嬉しかったです。ヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード)で並んでるのを見て「あー、ほんとに売られているんだな」って。タワーレコドでは教え子の(アイドル達)のCDと一緒に置いてくれたりもして……思い出しますね。

――最新作『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』では大森靖子さん、日笠麗奈さん、児玉雨子さんとの「セーラームーン妄想キャスティング会議」にも興味しんしんでした。「アイドルをセーラームーンの登場人物に当てはめたら」という内容です。ぼくはセーラームーン世代ではないのですが、自分が子供時代に流行った戦隊もの、たとえば「秘密戦隊ゴレンジャー」に当てはめて読みました。アカレンジャーは誰だろう、キレンジャーはこのアイドルかな、とか。

竹中 男の子向けのヒーローものはずいぶん昔からありますよね。でも女の子向けのものはセーラームーンまでなかった気がします。21日の出版イベント(※後述)ではセーラームーン世代だけじゃなくて、プリキュアだったり、おじゃ魔女どれみ世代も集まるので、いろんなキャラクターにアイドルのメンバーを当てはめる企画を考えています。

――ところで1月1日のPASSPO☆、約6時間半のフライト(ライヴ)には驚きました。いきなり元旦から、すごい世界を体験しました。

竹中 あれはすごかったですね……。私は“ぽすぽ(仮)”の頃から振り付けを担当しているんですが、最初は2曲から始まったのかな? そのあとプラス2曲で4曲になって、5曲になったんですが、当時はすぐ息切れしていましたね。それがライヴを重ねることによって、だんだん体力をつけていった。

――このフライトは結成5周年ツアーのファイナルでもあったんですが、「もう5年も経ったのか」と驚きました。そして、グループの歩みはまだまだ続くぞと思いました。

竹中 PASSPO☆は「はかなげな少女のどうのこうの」みたいなところに魅力を置いていないし(笑)、ファンの皆さんも、メンバーがみんなでキャッキャッして、ワイワイワチャワチャしてる姿を見るのが楽しいと思うんです。個人個人の少女としての美しさを見せるグループではないから、「これって別に何歳になっても通用していくんじゃないかな、長くやってけそうだな」とは以前から感じていましたね。それにPASSPO☆は、メンバーの「ずっと続けていきたい」というモチベーションが高いんです。ただ70曲近くのライヴをするようになるとは思いませんでしたね。終わった直後にメンバーに会ったんですが、思ったより疲れてなさそうでした(笑)。

――アンコールで、パッセンジャー(ファン)がサイリウムで滑走路を作って。

竹中 あれはすごかったですね。まこっちゃん(奥仲麻琴)の卒業ライヴにふさわしいというか、別の道に向けて飛び立っていく感じがすごく出ていたと思います。

――奥仲さん、最初の頃よりものすごく力強いダンスをするようになったと思います。「こんなにタフだったのか」と、びっくりしました。

竹中 意外とそうなんですよ。ほかのメンバーに引っ張られているうちに、力強くなっていったんだと思います。それに、ふざけるようになりましたね。おとなしくしていれば「かわいい」で済むところを、おどけたりするようになった。そうすると、お客さんにしてもメンバーにしても「面白いね」って反応をするから、それが楽しくなって、だんだんキャラクターが確立していったんだと思います。(メンバーどうしで影響を受けあうことは)どのグループ・アイドルにもあるでしょうね。

――中盤では、ロック・バンドのTHE GROUND CREWをバックに歌うパートも2時間ほどありました。曲によっては、HAWAIIAN6の安野勇太さんがゲストに加わって、計4本のエレクトリック・ギターが背後で鳴ります。あんなにハードでへヴィーな音の中で、よく歌って踊れると思うんです。

竹中 最初の頃は負けてましたよ。でもライヴを繰り返すうちに力をつけていった。今はリハーサルのとき、舞台監督から「君たちはどんどん体が暖まってどんどん声が出てくるようになるかもしれないけれど、THE GROUND CREWの人たちはどんどん体力が落ちてくるから、声を出しすぎないように」みたいなことを言われています(笑)。

――THE GROUND CREWには、経験豊富なベテランの方がいらっしゃいますから。

竹中 どうやらPASSPO☆は後半につれて、より声が出てくるようです。「ちょっと抑えるように」って言われていましたね。

――THE GROUND CREWの皆さんが、本当にニコニコしながら演奏している。ふだんコワモテであろうメタル系ミュージシャンの、あんな表情が見られるのも嬉しいところです。

竹中 すごいミュージシャンたちが集まったバンドだということをわかってないのかもしれません(笑)。親戚のおじさんみたいな感じでなついてますね。THE GROUND CREWの皆さんはリハの時もやさしく見守ってくれて、「PASSPO☆、かわいがられてるな」と思います。

――《ダムダムフリーダム》は竹中さんではなくて、PASSPO☆のクルー(メンバー)の玉井杏奈さんが振り付けをなさったとうかがいました。

竹中 そうです。《夏空HANABI》(2012年)の頃かな、杏奈が靭帯をケガして、ひと夏ライヴに出られなかったんです。フラストレーションがたまっていたみたいで、「なんか新しいことやりたい」と言うんです。「じゃあ、1曲ふりつけやってみたら?」って提案して、そこからという感じですね。杏奈もずっとダンスをやってきて、バレエだったりチアダンスだったり私とジャンルが近いんです。「フォーメーションを考えるのも好き」とも言ってたので、自由(フリーダム)をテーマに、本当に自由にやらせてみようと思いました。

――この曲では奥仲さんと増井みおさんがフィーチャーされていたので、奥仲さんが卒業した後、どうなるのか気になります。

竹中 今、ちょうど振り直しの最中です。それをしているとまこっちゃん(奥仲)がここをこんなに頑張ってたんだと思えたりとか、逆にあるパートを別のメンバーでやるとしたらこの子しかいないなという発想が出てきたりとか、役割を整理整頓している段階です。

――9人が8人になるということは、奇数から偶数になるということでもあり、客席から見ていても目に入る印象がガラッと変わります。

竹中 ただ、もともと10人だったので、その頃を思い出すような感じではありますね。

――元旦のフライトでは、20曲メドレーもあって、それぞれ1コーラスぐらいかなと思ったら、すごくガッツリやった。しかも「ピンクのパラシュート」はフルコーラスだし……

竹中 あれはもうメドレーの領域じゃないですよ(笑)

――新たに振り付けをなさったんですよね?

竹中 はい。曲のつなぎのところの練習と、音をつなぐことによって増えた振り付けの部分だったり、ちょっとした演出の部分ですね。たとえば《No.1 Boy》は野球の曲なんですが、イントロ部分を長くしてもらって、そこで球拾いをしている子がいたり、ストレッチしている子が出てくるという演出をつけたり。

――MCでメンバーが客席にいる竹中さんを紹介するところもありました。「ダンスの先生」に自分たちのライヴを見てもらえるのは、アイドル側にとってもすごく励みになると思うんです。

竹中 そのへんはよくわかんないんですけど、行かないと「なんで来なかったの!」とは言われますね(笑)。ツアーにはついていけないですけど、大きなワンマンとか、節目のものはどのグループも見に行くようにしています。[次回1/26(月)更新予定]

※竹中夏海イベント
●『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』トーク&サイン会
【日時】
2015年1月20日(火)
集合時間:午後6時30分
トークショー:午後7時~7時30分(予定)
サイン会:午後7時35分~ご参加の列が途切れしだい終了
(※トークショー終了後にサイン会を開催)
【会場】
渋谷パルコパート1 B1F グリーンルームギャラリー横特設会場

●『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』発売記念「アイドル=ヒロイン」妄想キャスティング会議
【日時】
2015年1月21日(水)
開場時間:午後6時30分
開演時間:午後7時30分
【会場】
お台場・東京カルチャーカルチャー(東京都江東区青海1丁目3-11 Zepp Tokyo2F)
【出演者】
酒井瞳(アイドリング!!!)、安斉奈緒美(PASSPO☆)、西七海(虹のコンキスタドール)+お目付役・近藤さん(「虹のコンキスタドール」美人マネージャー)、レナ(バニラビーンズ)、竹中夏海(振付師)
傍聴人:なでksジャパン(二宮なゆみ、小口桃子、日笠麗奈、渡賀レイチェル)

・公式ブログ
「チロリアンぶろぐ」http://ameblo.jp/takenakanaketa/
・公式Twitter
@723takenaka