

Nissim Otmazgin
〇Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授。トルーマン研究所所長を経て、同大学人文学部長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年ヘブライ大学にて政治学および東アジア地域学を修了。2007年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に贈られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。2012年、エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。
金閣寺を60回訪れたイスラエル人教授の“ニッポン学”



ナゴルノ紛争の当事国、アルメニアはどんな国? アルメニア人とユダヤ人の共通点
イスラエルの古都エルサレムの旧市街は、大きな石塀に囲まれた細い路地が入り組み、迷路のようです。日中でも薄暗い路地を歩いていると美しい陶磁器タイルで彩られたアルメニア人の店が目に入ります。アルメニア陶磁器タイルは、エルサレムのトレードマークとしてとても有名です。1919年、イスラム教の聖地である「岩のドーム」と呼ばれるモスクの修復のために、アルメニア人の職人が来て、モスクを美しく改装しました。今でも黄金のドームと壁面などにあるタイルが美しい対比を見せています。その後職人たちはこの地にとどまり、陶磁器のタイルや食器、タイルを家具にはめ込んだデザイン性のある商品などを制作するようになり、イスラエルの各地で商品が売られています。




イスラエルでコロナの状況が安定しても国境を開かない本当の理由
2019年5月、イスラエルの航空会社エルアルは、テルアビブから成田に毎週直行便3便を運航させると発表しました。2020年3月に開始する予定だったフライトは、16年越しの交渉のすえに実現しました。多くのイスラエル人は興奮しました。フライトを始めることをエルアルが決めたのは、両国間の観光客の増大でした。2019年にイスラエルに旅行した日本人は約2万人。日本を訪問したイスラエル人は4万人でした。フライト開始に合わせてエルアルは、厳格なユダヤ教徒のために宗教戒律を守った料理「コーシャ」を提供するため、成田空港の中に特別なキッチンを確保するほどの気合の入れようでした。


