BOOKSTAND

若き経営者たち10人へのインタビューから見える、賢い子供の導き方
若き経営者たち10人へのインタビューから見える、賢い子供の導き方
その年のトレンドワードを決める「ユーキャン新語・流行語大賞」で「イクメン」がトップ10入りをしたのは8年前、2010年のこと。そのころは、"子育てをする男性"というとある種の特別感があったことは否めず、そのために少数派である「イクメン」が世間の脚光を浴びたという側面もありました。女性の中には「わざわざイクメンをアピールしなくても。女性は何も言わずに淡々と子育てをしているのに」なんて気持ちを抱いた人もいるかもしれません。  けれどここ数年、その風向きは変わってきているといってよいかもしれません。ごく自然に、普通の日常として子育てをする男性。しかも、仕事か子育てのどちらかを選ぶではなく、仕事に全力で取り組みながらも子育てにも真剣に向き合う。そんな姿をたくさん見られるようになってきたのではないでしょうか。  本書の著者、宮本恵理子さんは1978年生まれのノンフィクションライター。主に働き方や生き方、家族をテーマにした執筆活動をおこなっているそうですが、過去に取材を通じてつながった若い世代の男性経営者たちがSNSに投稿する写真を見ていてあることに気づいたそう。そこには家族のごく普通の日常風景があふれており、けっしてイクメンアピールをするではなく、子育てを人生の一部として自然体で楽しんでいる彼らの姿があったといいます。  そこで、次世代を担う若きリーダーやプロフェッショナルたちは、子育てにどのように関わり、どのような"人育て"に挑戦しようとしているのかに、非常に興味を感じた宮本さん。40代以下の世代の男性経営者10名にインタビューをおこない、それをまとめたものとして上梓したのが、本書『子育て経営学 気鋭のビジネスリーダーたちはわが子をどう育てているのか』となります。  学校選びは? お小遣いのルールは? 夫婦の協力体制は? 将来の職業選択にどのようなアドバイスをする? こうした質問と回答を通じて、読む側の皆さんも多くの気づきを得ることができるでしょう。  登場するのは、早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄さん、ソラコム社長・玉川憲さん、建築デザイン事務所noiz代表・豊田啓介さん、ガイア社長・中桐啓貴さんなど。ここで印象的な箇所をいくつかご紹介すると......。  たとえば、パパ友とLINEグループを作っているというのはスペースマーケット社長の重松大輔さん。雨の日には「クルマで保育園まで送るけど、誰か一緒に乗っけようか?」なんてやりとりをしたりするのだとか。会社の事業としてはレンタルスペースや貸し会議室といった空間のシェアリングを提供している重松さんですが、私生活では「子育て」のシェアリングを実践中といえそう。また、実際の商売についてもできるだけ早い段階で子どもたちに経験させたいことから、フリマアプリ「メルカリ」を利用して家の中の不用品を売ってみるといったことも考えているといいます。  個人向けマイホームアプリ「knot(ノット)」の開発などに携わるSOUSEI社長の乃村一政さんは、高校卒業後、吉本興業で芸人活動をしていたという異色の経歴の持ち主。現在は8人の子どもがいる大家族パパでもあり、「子育ても事業もエンターテインメント」が持論です。家庭でも笑いを通じて子どもたちとオープンにコミュニケーションできる関係を築くことを大事にしているそうですが、それは事業の成長においても同じ。驚きや感動をもって「いかに目の前の人を笑わせるか」を常に考えていると話しています。  彼らのインタビューを通じて感じるのは、本書のタイトルにもあるとおり「子育てと経営は一緒」ということ。「一緒」は言い過ぎかもしれませんが、共通点は多いのかも。著者の宮本さんは「経営をするように子育てをして、子育てをするように経営する彼らの姿に、私はとても大きな希望を持った」と本書で書いています。  もちろん、彼らの子育て実践法は「経営者だからできる」という面もあるでしょう。けれど、共働きの妻と連携して子どもたちの育児に奮闘し、問題が起きたら前向きに課題解決しようとする姿は普通の会社員と変わらないことがわかります。こうした若い世代の人たちが増えていけば、日本の未来も私たちが杞憂するよりもずっと明るいものになるはず。人生において男性が子育てにかかわることの豊かさを、皆さんもぜひこの一冊から受け取ってみてください。
BOOKSTAND 9/7
磯野家は土地だけで2億円の価値!? サザエさんちの"危機"が明らかに?
磯野家は土地だけで2億円の価値!? サザエさんちの"危機"が明らかに?
日曜の夜を象徴するテレビアニメ「サザエさん」。その中心として描かれる磯野家(サザエさんはフグ田家ですが)は、日本一有名な一家といっても過言ではないかもしれません。しかしそんな磯野家が、"危機"を迎えている、と指摘する著書があります。
BOOKSTAND 9/4
与謝野晶子著『きんぎょのおつかい』から得た意外性は絵本作りのヒントになる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(後編)
与謝野晶子著『きんぎょのおつかい』から得た意外性は絵本作りのヒントになる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(後編)
女優、エッセイストとして活動する室井滋さん。今年7月には、てぬぐいあそび絵本『ピトトトトンよ〜』(世界文化社)を上梓し、9月には絵本『すきま地蔵』(白泉社)の新刊絵本を発刊する予定です。室井さんは、学生時代は村上春樹作品をよく読んでいたそうで、最近で印象に残った作品は、和田誠さんの著書『ねこのシジミ』だといいます。そんな室井さんに前回に引き続いて日頃の読書の生活についてお伺いしました。
BOOKSTAND 8/31
学生時代は村上春樹作品を愛読し、映画にも出演しご縁を感じる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(前編)
学生時代は村上春樹作品を愛読し、映画にも出演しご縁を感じる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(前編)
女優としてドラマや映画、CMなどで幅広く活躍を続け、エッセイストしても活動している室井滋さん。これまで、映画「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」「OUT」「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」などで数多くの映画賞を受賞。2012年日本喜劇人大賞特別賞、2015年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞しました。執筆者としては、近刊に『おばさんの金棒』(毎日新聞出版) 、絵本『しげちゃん』シリーズなど著書を多数出版。絵本『いとしの毛玉ちゃん』(金の星社)に連動したCD「8つの宝箱〜いとしの毛玉ちゃん〜」(日本コロムビア)を同時発売し、文春文庫の著書10作品や、マガジンハウスより著書『ドレスよりハウス』『マーキングブルース』が電子書籍にもなりました。今年7月にはてぬぐいあそび絵本『ピトトトトンよ〜』(世界文化社)を上梓し、9月には絵本『すきま地蔵』(白泉社)の新刊絵本を発刊する予定といいます。今回はそんな室井さんに、日頃の読書生活について伺いました。
BOOKSTAND 8/30
親との関わりの中で自然と身についた知識は子どもの一生の宝物
親との関わりの中で自然と身についた知識は子どもの一生の宝物
小さな子どもを寝かしつける時に、絵本の読み聞かせを習慣にしているという家庭は少なくないでしょう。一日の終わりにのんびりした気分で子どもと過ごす時間はかけがえのないものですね。
BOOKSTAND 8/28
まさかの"年収1億円あるある" お金持ちは「キャバクラでリクルートする」?
まさかの"年収1億円あるある" お金持ちは「キャバクラでリクルートする」?
年収をもっとアップさせたい......というのは、誰しも一度は考えたことがあるのでは。そのためには転職や独立、投資にチャレンジしてみるなど様々な方法がありますが、まずは"形"から入ってみるのもひとつの手かもしれません。  水野俊哉さんの著書「年収1億円の人は、なぜケータイに出ないのか?」は、富裕層とそうでない人の"形"、つまり目に見える行動の部分に注目した一冊。年収300万円の人、1000万円の人、1億円の人、それぞれの行動の傾向を比較し、その行動の裏にある思考を解説しています。富裕層のコンサルタントも務める著者が、ファッションや読書傾向、飲食店での行動やSNSの使い方、さらには結婚観まで、年収による行動の違いをつづっています。  例えば、飲食店でメニューを注文する場合。年収300万円の人は「友達と同じものを頼む」、1000万円の人は「じっくりメニューを見て選ぶ」、1億円の人は「メニューが来たら2秒で即決」と著者は指摘。判断に要する時間をなるべく減らすということは、お金持ちの誰もがやっていることだと言い、「大きなビジネスを動かすお金持ちにとっても、優柔不断は命取り。彼らの決断が早いのはむしろ当然なのです」と説明しています。確かに、ビジネスで決断を迫られることが多いお金持ちならば、ありそうな行動傾向です。  しかしなかには、一般人ではなかなか想像がつかない行動も。そのひとつが、"キャバクラでの行動"。同書で著者は、年収300万円の人は「キャバクラで女を口説く」、年収1000万円の人は「キャバクラで接待される」、年収1億円の人は「キャバクラにリクルートしに行く」と指摘しています。お金持ちというと夜の街で豪遊していそうなイメージがありますが、実は彼らには、接待の名目で連日のようにキャバクラで遊ぶ......という虚しい(!)マインドはないのだと言います。というのもお金を使うのであれば、その場であぶく銭のように消える使い方ではなく、使った以上の"何か"が戻ってくるような方法を考えたい、というのがお金持ちの考え方だからです。そのため、キャバ嬢からも"何か"が得られる方法を考えます。  では、彼女たちから何を得るのか。銀座や六本木の売れっ子キャバ嬢なら、頭がよく、対人能力が高い人も多いはず......ということから、お金持ちはそんな女の子に声をかけて、昼間のアルバイトに来てもらうのだそうです。しかし気になるのは、そのキャバ嬢に一体どんな仕事を任せるのかということ。本書では一例として「例えばですが、新規の開拓をしている部署があったら、その部署の人間と一緒に営業にいってもらって、ハンコを押してもらえたら契約料の10%を払う......など」と挙げており、「それで300万円の契約が取れたとしたら、キャバクラで10万円以上飲んでいたとしても、むしろ得した気分になるでしょう」と解説。確かに、キャバ嬢との出会いがこれだけの結果を生めば、費用対効果も十分。キャバクラでの行動すら仕事に還元するというのは、なるほど、お金持ちならではの考え方と言えそうです。  このほかにも、「年収1億円の人はビジネス結婚する」「リッツ・カールトンで打ち合わせする」「電磁波とタバコを避ける」など、"年収1億円あるある"が満載の同書。いかにも"お金持ちらしい"ものから意外なものまで、51項目にわたって紹介されています。  自分の行動を振り返って、年収いくらの人に当はまるのか照らし合わせながら読んでみると、楽しめそうな一冊。もし年収1億円の人と共通点が多かったら......富裕層の仲間入りをする日は近いかもしれません。
BOOKSTAND 8/23
ADHDと診断された営業マンが明かす当事者のリアルとは?
ADHDと診断された営業マンが明かす当事者のリアルとは?
スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ......。「発達障害」という言葉がメディアを賑わせる昨今、彼らのような名だたるIT企業の創始者や、かのエジソンやアインシュタインといった偉人や天才も発達障害だった、という言説を目にする機会も多いのではないでしょうか。
BOOKSTAND 8/20
顧客減に悩んでいたWOWOWを12年連続顧客増に導いた施策とは?
顧客減に悩んでいたWOWOWを12年連続顧客増に導いた施策とは?
会社であれ、お店であれ、個人であれ、何かの商品やサービスを売る人であれば誰しもが「優良顧客を獲得したい」と思っているのではないでしょうか。けれど、現状としてはその多くが「顧客の減少」や「売上の減少」に頭を悩ませているといいます。
BOOKSTAND 8/16
異端系食堂!絶滅危惧食!? 安くて美味くて地元民に愛され続ける「絶メシ」って?
異端系食堂!絶滅危惧食!? 安くて美味くて地元民に愛され続ける「絶メシ」って?
突然ですが、皆さんの町にこんなお店はありますか? 出すメニューは安くて美味い。地元民に愛され続ける名物店主がいる。店舗は歴史を刻んできたことがわかる古びたたたずまい......。昔は日本全国でよく見かけたであろうこんなお店も、時代とともに今ではずいぶんと減ってきているようです。
BOOKSTAND 8/14
大人でもどう考えたらよいか難しい問題。さてどう答える?
大人でもどう考えたらよいか難しい問題。さてどう答える?
2018年春から小学校で教科化されることとなった「道徳」。文部科学省のほうで「考え、議論する道徳」というキャッチフレーズを掲げているように、従来の形式的な道徳の授業以上に、子どもたち自らで考え、議論し、道徳性を育んでいくことに力が注がれているようです。  たしかに、今後ますますグローバル化、多様化していくであろう社会の中で、自分の考えを持ったり、それを表現したりすることはとても大切。けれどやっかいなことに、大人でさえも世の中の問題に対し、どう考えてどう答えたらよいか戸惑ってしまうなんてことは日常茶飯事なんですよね、実は。  そこで、そうした問題について親子で、家族で、友達同士で考えて議論するのに役立つ一冊が『答えのない道徳の問題 どう解く?』です。  たとえば、本書に出てくるのはこんな道徳の問題の数々。「ついていい嘘と、ついちゃいけない嘘ってどう違うんだろう?」「人数が多いほうが、正しいってどうして言えるんだろう?」「蝶々を殺して、ネコを殺しちゃいけないのは、どうしてだろう?」「男の人と女の人は好きになると結婚する。どうして好きな女の人どうしは、結婚しないんだろう?」――子どものころ、皆さんも一度は父親や母親にこんな質問をしたことがあるのでは? もしかしたら、自分の子どもから同じ質問を受けている人もいるかも。  でも、こうした質問にすぐさまパッと明確に答えられる大人はいったいどのぐらいいるでしょう? 中には時間をかけたとしても、自分なりの答えを出せないような問題もあるかもしれません(事実、私はそうでした)。  そこで頼りになるのが、本書の後半に出てくる「考えるためのヒント」です。ここでは各界の有識者や著名人が、質問に対する自身の意見を述べています。「うそ」については詩人の谷川俊太郎さん、「せんそう」についてはジャーナリストの池上彰さん、「べんきょう」については棋士の羽生善治さん、「すき」については能町みね子さん、などなど......。一つの質問についても、さまざまな角度から光をあてて考えることができます。  ただし、これはあくまでも正解ではなく単なる「ヒント」。まずは自分で考えるべく、問いかけのみが先に出され、その後に手引き的な感じで「考えるためのヒント」が掲載されています。  順番としては、まずはいっぱい考えていっぱい悩んで自分なりの答えを見つけてみる。次はお父さん、お母さん、友達などといっぱい話し合ってみる。そのうえで「こんな風な考え方もあるよ」というつもりで「考えるためのヒント」を読むのがよいでしょう。  さらに巻末には、本で考えた疑問や問題、自分の意見を話し合うためのワークシート付き! めいっぱい、子どもの対話するチカラ、考え抜くチカラを伸ばすことができそうです。  大人にとっても自分の倫理観や道徳観を見直すためになるであろう本書。堅苦しく考えず、フラットな気持ちでトライしてみてください。そして子どもがいる人は、ぜひ一緒に取り組んでみて。彼らと本音で話し合うよい機会になるに違いありません。
BOOKSTAND 8/10
都会で自然といきもの探し この夏は「江戸」と「東京」を繋ぐちょっと変わった街歩き
都会で自然といきもの探し この夏は「江戸」と「東京」を繋ぐちょっと変わった街歩き
東京にも自然を感じられる場所はたくさんあります。たまにはそういう場所に足を運びたくなりますが、そこにいる生き物に目を向けたことはありますか? 川上洋一著による本書『東京いきもの散歩』は、江戸から受け継ぐ東京の自然と生き物たちを紹介してくれています。  本書の中でまず目を引くのは第1章の入門コース、新宿御苑。ビジネス街に大きな庭園がある理由は江戸時代に遡ります。この辺りは信州高遠藩内藤家の下屋敷で、内藤清成が江戸城西門警固の功績を認められて与えられた土地だったそう。「馬が走れるほどの広さを」と徳川家康が約束したため、これだけ広い庭園として残っているのです。  そんな新宿御苑で見られる生き物はアズマモグラやヒガシニホントカゲなど。数は減っていますがスッポンもいるとのこと。バードウォッチングもできるそうで、カワセミやアオサギのような水鳥を見ることができます。山でのイメージが強いバードウォッチングですが、都心で始めてみるのもいいかもしれません。  もう1つ都心で自然を体験できるのが、国立科学博物館付属自然教育園と、本書は勧めます。高級住宅地として知られる港区白金にあ理、23区内では珍しい照葉樹林が、都内で最もよく保存された状態で残されています。  本書によれば、もともとこの土地が照葉樹林に覆われていたのは縄文時代。平安時代には森が切り開かれ、室町時代には土地の名前の由来となった豪族「白金長者」の支配下に。江戸時代には高松藩松平家の大名屋敷として庭園が造られ、明治時代に陸海軍の弾薬庫が作られたため立ち入り禁止区域となりました。それから人の手が入らなかったため照葉樹林が回復し、今では天然記念物および史跡に指定されています。  潜在植生に近い姿が東京都心で見られることは知らない人も多いでしょう。ここは自然を知り理解するために保護されているので、入り口近くの教育管理棟にはジオラマや標本が。園内にも注目ポイントに解説板があり、季節ごとに変えられるので誰でも気軽に自然や生き物を知ることができるそうです。  また、本書には、下町について語られる第2章の中で、ちょっと変わった話題も。その名もコラム「大江戸妖怪伝」。例えば、有名な怪談「本所の七不思議」のうちの1つである「置いてけ堀」という怪談は、下町の水路の1つである錦糸堀が舞台。そこで釣りをして大漁だった男が帰り際、堀のほうから「置いてけ、置いてけ」という声を聴きます。驚いて逃げ帰り、あとから魚籠を見ると仲が空っぽになっていたというお話です。  この怪談は下町の生き物と関係があるそう。男が化かされた妖怪の正体は、絶滅した二ホンカワウソだと考えられているのだそうです。二ホンカワウソは体長が約70センチもあるため、立ち上がった姿が河童のような妖怪に見えたのではないかと本書では分析されています。他にも日本各地でカワウソは人を化かすことがあるとの言い伝えがあるようです。  このようなコラムの他にミニ図鑑も。写真がたくさん載っているので、実際に生き物に出会ったときにもわかりやすくなっています。東京を散歩するときのガイドにしたくなる本書。夏は涼しいところに行きたくなってしまいますが、この本で自然と生き物をチェックして東京を散歩してみるのもおすすめです。
BOOKSTAND 8/3
合コン、旅行、新しい恋... 乳がんステージ4だった著者が綴る赤裸々闘病記
合コン、旅行、新しい恋... 乳がんステージ4だった著者が綴る赤裸々闘病記
体が元気な時ほど、意識しないのが健康の大切さ。しかしある日突然、がんを宣告されたとしたら......その大切さを痛感するとともに、多くの人がこれからの闘病生活に不安を抱くのではないでしょうか。  35歳の時に乳がんと告知された白戸ミフルさんも、告知されたときには大きなショックを受け、涙が止まらなかったと言います。がんの進行が進んでいるとされる「ステージ4」と告げられた白戸さんは、精神不安定になったり、抗がん剤治療で心身ともに苦しんだりと、数々の苦難に遭遇します。普通ならば、ここから壮絶な治療との戦いや、闘病の葛藤が始まるのですが、白戸さんのデビュー作となったコミックエッセイ『乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行きまくって救われた話』では、タイトル通り、闘病中の白戸さんの意外な行動が描かれていきます。  同書で描かれるのは、抗がん剤治療中にも関わらず合コン通いを続け、飲酒、海外旅行、さらには新しい恋までスタートさせて......という、白戸さんの破天荒な行動の数々。でもこうした行動の背景には、白戸さんの"あるモットー"が。  実は20代のころから合コン好きで、健康だった時は週3、4は当たり前の合コン三昧だったという白戸さん。さらに海外旅行やクラブイベント、クルージングなどにも繰り出し、いわゆる"リア充"なプライベートを送ってきました。そんな白戸さんも、がんと告知されてからはつらい闘病生活が始まるのですが、その一方で決してあきらめなかったのが"リア充"だったころのように毎日を楽しむこと。「がんにストレスは良くない」をモットーに、行動が制限される中、自身が楽しいと思えることをしようと務めます。  抗がん剤治療を始めた白戸さんは、全身の毛が抜け落ち、吐き気にみまわれたり、免疫力が落ちて高熱を出したりと、数々のつらい症状に見舞われますが、その一方で「想定外のこと」を喜ぶポジティブな姿勢も見せます。例えば、吐き気による食欲減退はつらいですが、そのおかげで痩せて顔がすっきりし、目が大きくみえるように。さらに、美脚やくびれも手に入れ、痩せていたころの服が入るようになったと喜びます。また、髪やまゆ毛、まつ毛が抜けてしまうと、そこは努力でカバー。自然に見えるアイブロウをたくさん試し、つけまつげはすいて使うことで、自然なまつげに見せるなど、試行錯誤を重ねていきます。髪は、通販などで安いウィッグを取りそろえ、ショートからロングまで様々なヘアスタイルを楽しむように。さらに全身の毛が抜け落ちたことで、全身脱毛をしたような状態になり、合コンに行くと「肌キレイだね」と褒められるようにもなったのだとか。  また、がんになる前は結婚にあせり、前のめりになっていた合コンが、闘病中は自然に人との会話を楽しめるようにもなったと言います。以前よりきれいになり、そして前のめりの姿勢がなくなったことで、闘病中の合コンで白戸さんは自然とイケメンを引き寄せるようになっていったのだそう。  苦しい闘病生活の中に楽しみを見いだしていく白戸さんですが、そんな中でも、患者ならではの大変さを経験します。合コンで理想の相手に巡り会うも、相手に闘病中であることを告げられずに悲しい結末を迎えたり、カラオケではめを外してウィッグが取れてしまったり......。それでも前を向いて自分のしたいことに邁進する白戸さんは、かつて抱いていた「漫画家になりたい」という夢にもチャレンジ。このコミックエッセイを描き上げ、その夢まで叶えてしまうのですから、その行動力には脱帽です。  現在は3カ月に1度の通院を続けつつ、根治を目指しているという白戸さん。巻末では、今では「がんになって良かったとすら思う」とまでつづっています。そして、つらいとされるがん治療も「気持ちひとつで楽しく乗り越えることができる!」というメッセージを送っています。この言葉は病と闘うことだけではなく、人生のあらゆる局面で言えることかもしれません。これまでにない破天荒な"がんサバイバー"の姿からは、多くの学びがありそうです。
BOOKSTAND 7/31
この話題を考える
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

ロシアから見える世界

プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

ロシアから見える世界
残業100時間から「12時出社5時退社」を実現した著者が教える超スピード仕事術
残業100時間から「12時出社5時退社」を実現した著者が教える超スピード仕事術
会社で働いていれば、同時進行でこなさなくてはいけない案件をいくつも抱えてしまうのはよくあること。中には、それをうまく処理しきれずに「私は仕事ができない」と悩んだり自信を失ったりしている人も多いのではないでしょうか。
BOOKSTAND 7/27
漫画「あげくの果てのカノン」には、別のラストがあった? 「読む人次第で変わる内容に」
漫画「あげくの果てのカノン」には、別のラストがあった? 「読む人次第で変わる内容に」
青山ブックセンター 本店で7月23日、トークイベント「ハッピーエンド(もしくは地獄のはじまり)の作り方」が開催されました。
BOOKSTAND 7/25
なぜ中国人は"パクる"のか? "パクリ遊園地"潜入で見えたその理由
なぜ中国人は"パクる"のか? "パクリ遊園地"潜入で見えたその理由
近年、東京のみならず、日本各地の観光地で見かける機会が増えた、中国人観光客。観光立国を目指す日本にとってはなくてはならい存在ですが、一方で道を占拠したり、会話のボリュームが大きかったりと、ちょっとネガティブなイメージを抱く人も少なくないのでは。そうした中国人の行動も、彼らを取り巻く環境や思想の背景を知ると、見方が変わってくるかもしれません。
BOOKSTAND 7/23
「一発屋」の称号は"恥の上塗り"!? 山田ルイ53世が明かす「一発屋」の呪縛
「一発屋」の称号は"恥の上塗り"!? 山田ルイ53世が明かす「一発屋」の呪縛
かつて「ルネッサーンス!」のフレーズで売れっ子になった、お笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世さん。ここ数年、芥川賞作家となった「ピース」又吉直樹さんをはじめ、お笑い芸人出身で"書き手"としても高評価を得ている人々も珍しくなくなっていますが、山田ルイ53世さんも、そんな芸人作家の1人です。
BOOKSTAND 7/20
浮気や不倫じゃない「複数恋愛」=ポリアモリーって何?
浮気や不倫じゃない「複数恋愛」=ポリアモリーって何?
「性の多様化」について話題にあがることが多くなってきた昨今、LGBTとともに注目を集めているのがポリアモリーではないでしょうか。「ポリアモリー」とは複数の人と同時に、それぞれが合意のうえで性愛関係を築くライフスタイルのことです。
BOOKSTAND 7/17
「猫あるある」満載!? ツイッターで大人気の猫漫画がついに書籍に
「猫あるある」満載!? ツイッターで大人気の猫漫画がついに書籍に
雑誌、ネットでも数多くリリースされている猫漫画。その中でも「とにかく猫の描写がリアル」と多くの人々の心をとらえているのが本書『俺、つしま』です。何気ない猫のしぐさから猫のぽってりとした体つきや毛並みの色まで優れた画力で丁寧に描かれていますが、根底にあるのはあふれんばかりの猫に対するいとおしさ。その猫愛は、読んでいるこちらまであたたかな気持ちにさせられます。  作者は作画を兄、文章・ストーリーを妹が担当するきょうだいユニット「おぷうの きょうだい」。2017年7月からツイッターで「俺、つしま」をスタートさせたところ、これが大人気に。満を持して書籍化されたのが本書です。  主人公の「つしま(つーさん)」は、外でゴミを漁っていたところをおじいちゃん(実は女性!)に保護されたキジトラ。すでにおじいちゃんの家に暮らしている先住猫の「ずん姐さん」や、後からやってきた「ちゃー」「おさむ」などとの生活がコミカルに漫画で描かれていきます。これが「猫あるある」満載で、猫を飼っている人にとっては共感したりニヤニヤしたり......。猫を飼っていない人も、猫との生活がリアルに想像できてすぐに登場キャラクターたちに愛着がわいてしまうはず!  けれど、ただ笑いだけで終わらないのがこの漫画のスゴさです。ときに涙がホロリ、ときに号泣してしまう場面があるから読んでいて油断できません。まずは、つしまが今の飼い主であるおじいちゃんと出会う前のお話。これは書籍化された際に新たに挿入された描き下ろしのエピソードのようですが、野良猫だったつしまと一人で一軒家に暮らすおじいさんという孤独な者同士の心の交流、そして死別が描かれています。  そして、もうひとつが先住猫であるズン姐さんとの別れ。もう二十年以上この家に住んでいる年長者のズン姐さんは、年を追うごとに一日中寝ているばかりのことが増え、以前のように元気に動き回ることがなくなってきます。それでも、おじいちゃんもつしまたちも思うことは同じ。「ただいてくれたらそれでいい」んだってこと。けれど、やがて春が来たころにズン姐さんは死んでしまいますが、その後のつしまの「姐さんはいろんなところにいるよ」という言葉はとても心に響き、読者の涙を誘います。  どちらのエピソードも、それが動物であっても人間であっても、愛する者との死別を経験したことがある人ならばきっと心を揺さぶられることでしょう。  猫を飼っている人、さまざまな事情から飼えない人、これから飼おうと考えている人......すべての猫好き必読の『俺、つしま』。皆さんも笑って、ホロリとして、爆笑して、号泣して、この一冊で猫との愛すべき生活を疑似体験してみてください。
ねこ
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