

大友博
プロフィール
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。dot.内の「Music Street」で現在「ディラン名盤20選」を連載中
大友博の記事一覧





第24回 1970年の発表当時、多くの人たちから酷評された2枚組アルバムを再訪した『もう一つの自画像(アナザー・セルフ・ポートレイト)
アメリカ人音楽ジャーナリスト、グリール・マーカスの『ミステリー・トレイン』という本をご存知だろうか? 1960年代末から米ローリングストーン誌などでコラムニスト/評論家として働き、次第に評価を高めていった彼が75年に発表した本だ。僕は70年代後半にまず三井徹氏の翻訳で読み、やや恥ずかしい告白だが、漠然とながら「いつかこういう仕事をしてみたい」と思うようになった。こうして音楽に関する文章を書いていることの、それが、いわば原点であったわけだ。たしか80年前後には原書も手に入れ、2008年発行の第5版まで追いかけてきた(第6版が15年に出ている)。ザ・バンドに焦点を当てた章での「ディランがまだ高校の校長を脅かしていたころ、すでにプロとして働いていたリヴォンは、同行しなかった」という文章など、そのままの形で僕自身の財産として存在しつづけてきたパートも少なくない。



第21回 1965年のシングル「ポジティヴリー4thストリート」など、ノン・アルバム・トラック30曲を録音順に収めた貴重な作品集『サイド・トラックス』
編集担当Kさんからの提案を受けて、本サイトでボブ・ディランをテーマにした連載を開始したのが、2016年の8月。10月に入り、ボブ・ディランがローリング・ストーンズやニール・ヤングらとともに1週目のデザート・トリップ・フェスティヴァルに出演した直後、「ディランにノーベル文学賞」というニュースが伝わり、これまでより幅広い層の人たちのあいだで、さまざまな形でボブ・ディランという芸術家について語られるようになった(えっ、村上春樹じゃないの? という街の声には苦笑してしまったし、報道でプロテスト・シンガーと紹介されたりしてしまうことには強い違和感を覚えたが)。ディラン作品の日本でのリリースをほぼ一手に手がけてきたレコード会社は、一般紙に全面広告を出すなど、力の入った祝福プロモーションを展開している。

第20回 2017年年明けの現時点では、オリジナル・アルバムとしては「最後」のものということになる作品『テンペスト』
アルバム『モダン・タイムス』発表後もネヴァー・エンディング・ツアーは、まさにその名のとおり、ほぼ休むことなくつづけられていく。そして2009年には、ツアー・メンバーを中心にしたミュージシャンたちと録音した『トゥギャザー・スルー・ライフ』と『クリスマス・イン・ザ・ハート』の2作品を発表。翌10年には同ツアーの初期段階で通算6回目の来日をはたし、Zepp大阪/名古屋/東京で計14回ステージに立っている。いわゆるクラブ・サイズの会場でのライヴだ。1978年2月に武道館からスタートした日本公演の歴史のなかでは、もちろん、はじめてのことだった。

第19回 創作に取り組む独自の姿勢を示した2006年発表のアルバム『モダン・タイムズ』
2006年夏発表のアルバムに収めた《ホエン・ザ・ディール・ゴーズ・ダウン》のために制作されたミュージック・ビデオをご覧になったことがあるだろうか? 監督は前年公開の『カポーティ』で各方面から高い評価を獲得したベネット・ミラー。主演は、なんと、スカーレット・ヨハンセン。ディラン本人は登場せず、8ミリ・フィルムを生かしたノスタルジックな感触の映像で物語が描かれていく。『パリ、テキサス』での、ハリー・ディーン・スタントンが幸福だったころを回想するあの美しいシーンを彷彿させる、それ自体が映画として完成しているといった印象の作品だ。YouTubeに公式な形でアップされているはずなので、興味を持たれた方はぜひ。