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「デカなのか、バカなのか」という作品のキャッチコピーに対するアンサーは、「バカ」の一択。「30年間の昏睡状態から目を覚ました時代遅れの刑事」という主人公の設定がすでにバカだが、爆弾を抱えて観覧車から海に飛び込んだり、足にロープを引っかけてヘリコプターの離陸を止めたり、もうやりたい放題なのだ。

 この秋、いわゆる“ドラマ識者”と呼ばれる人々と何度か座談会をさせてもらったのだが、同作を称えたのは私だけ。それどころか最初からドラマとして見ている様子すらなく、「お子ちゃま向けの長尺コント」なんて声もあった。

 しかし、視聴者の見方は賛否両論。否定的な人がいる一方で、見ている人の多くは「ありえない」「くだらね~」と、テレビ画面にツッコミを入れて楽しみながら見ているという。たとえるなら、映画の“応援上映”ならぬドラマの“ツッコミ鑑賞”。ツイッターにツッコミを書き込みながら見ている人も多く、その意味では現代性の高い作品と言えるだろう。また、ネット動画の大半は「バカ」をベースにしたものだけに、若者との親和性も悪くない。

 もう1点、見逃せないのは、「昭和」ネタ。バブルキャラの女芸人・平野ノラがブレイクしたように、今や「昭和」は中高年だけでなく、若者にとっても笑いのアイテムとなっている。「昭和」を全く知らない小学生たちが、主人公のセリフでゲラゲラ笑っているのだから、その破壊力は強烈。つまり当作は、「バカ」と「昭和」の両面で、「テレビはつまらないから見ない」と言う若者にこそ見せたいドラマなのだ。

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