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男子の貞操
話題の新刊
2014/05/29 19:11
男子の性交経験率が2011年に、1974年の調査開始以来初めて前回調査を下回ったという。結果に賛否は分かれるだろうが、著者が問題視するのは、若い男性が性を避けている点。性情報の氾濫で、記号として消費することに慣れ、特定の相手と関係を結ぶことに難しさを感じる若者が増えていると指摘する。本書では明治以降の性や恋愛の変化を辿り、今後の性愛のあり方を提言する。
興味深いのは性体験率が低下傾向にありながらも、自由な性愛が可能になったことで現代が「もっとも簡単に童貞を卒業できる社会」とする考察。ただ、かつては村落共同体内のつながりや見合いで解消されていた性体験が個人で解決しなければならない問題に変化し、一部の若者を悩ます現状をもたらしているとも説く。著者は自己責任化した性愛を克服するため、「信頼」と「絆」をベースにした処方箋を提示する。
タイトルや目次は性に関する表現であふれるが、本書の議論は下半身の問題の解決に留まらない。21世紀の若者がどう生きるか。バイブルとなる一冊だ。
※週刊朝日 2014年6月6日号
男子の貞操
坂爪真吾著


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