イラスト:佐野文二郎
イラスト:佐野文二郎

 21世紀が訪れた00年代は横浜にとって試練の時期だった。02~15年までの14年間で実に10回も最下位に沈んだ。08年は48勝94敗2分で、勝率は.338。この年、首位打者に輝いた内川聖一の打率が.378だったので、「打率よりも低い勝率」と揶揄されることになった。08~12年までは5年連続最下位で、08~10年までは3年連続90敗以上という屈辱も経験。主力選手は続々と流出。重苦しい雰囲気の中、ひたすらもがき続けた時期だった。

 一方、何度も何度も黄金時代を満喫していた巨人にとって、「唯一の暗黒時代」と言っていいのが、堀内恒夫監督が率いた05年、第2次原辰徳政権が誕生した06年の2年間が巨人史上唯一の「2年連続Bクラス」となったのがこのとき。巨人ファンの多くが、負けに対する耐性が少ないと言われることが多いのも納得。

 広島は91年以来、25年間も優勝から遠ざかったが、16~18年は3年連続優勝で暗黒時代の記憶を帳消しに。現在はオリックスが、96年以来、24年連続V逸継続中。前半戦を首位で折り返した21年はどうなるのか? 光あれば、影あり。栄光あれば、屈辱あり。黄金時代を謳歌する陰には、暗黒時代をもがき続ける存在があるのだ。

長谷川晶一
1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターに。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。著書に『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた! 』『いつも、気づけば神宮に東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(以上、集英社)、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『虹色球団 日拓ホームフライヤーズの10カ月』(柏書房)、『プロ野球語辞典 令和の怪物現る! 編』(誠文堂新光社)、『プロ野球バカ本』(小社刊)ほか多数。
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