3年というスペシャルな時間が普遍的な何かにつながる

 インタビューの後、ウェブ連載のフォトエッセーを見て実感したことがある。写真集はエッセーの写真を単にまとめたものでは決してなく、別もの、ということだ。連載にあった写真の多くは写真集では使われず、伝えたいメッセージも研ぎ澄まされていると感じた。

「自分の子どもの写真集であるけれども、生まれてから最初の3年間という特別な時間が普遍的な何かにつながるのかなと思って。自分の子ども時代を思い出してもらうとか、子どもの持つ生の力強さを感じてもらえるかもしれない」

 そう、川内さんが語ったとき、「子どもは小さな大人ではない」というルソーの言葉を思い出した。子どもは大人とは違う、固有の世界に生きている。「特に3歳までの子どもというのは、人も自然の一部であることをより感じさせてくれる」。自然は人間が制御することはできない。穏やかで美しいときもあるが、荒れ狂うこともある(しかも、突発的にだ)。子育てとは、そういう自然と向き合うことなのだろう。

――ちなみに、反抗期はどうですか?

「もうすごいです。反抗しまくっています」

(文・アサヒカメラ 米倉昭仁)

撮影:川内倫子
撮影:川内倫子

※ 写真集『as it is』の版元はフランスの出版社Chose Commune。日本語版をtorch press、英仏版をChose Communeが担当した共同制作

【MEMO】川内倫子写真展「as it is」
POST(東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
http://www.post-books.jp) 9月4日~10月11日開催