写真家・川内倫子が「子どもという自然」を写した特別な3年間 (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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写真家・川内倫子が「子どもという自然」を写した特別な3年間

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作品をつくることを意識せず、日々撮っていたからこそ生まれる物語

 ここで冒頭の話に戻るのだが、川内さんは最初「どちらかというと、あまり乗り気じゃなかったんです。これで一冊まとめられるかな、と」。さらに、「今回はまとめるにはまだ早いなと」という意識もあった。

 というのも、05年に出版した写真集『Cui Cui』(フォイル)は、表紙オビに「13年間の家族のアルバム」とあるように、とても長い時間をかけて写したものだった。

 家族をずっと撮影していたときも「積極的に作品化するとは思っていなかったんです。でも、祖父が亡くなり、甥っ子が生まれたというひとつの巡りがあって、それが写真集をまとめるきっかけになった」。

 そんな前作を引きながら、「娘を被写体とした写真をいずれ作品集としてまとめるにしても、20年くらいたってから作ると面白いかなあ、と漠然と思っていた」のだ。

 しかし、依頼をきっかけに考えていくうちに「『特別な3年間』という意味でまとめる、というのはアリなのかもしれない」と思えるようになった。
撮影:川内倫子

撮影:川内倫子

まだ「向こう側の世界」とつながっているような存在

 よくいわれることだが、実際に子育てを体験すると、3歳くらいまでの時間はさまざまな意味で特別なものであることを実感した。

「生まれて、ものすごく小さかったのが、ふつうに立ってしゃべるまでになる急激な変化。それに、いちばん古い記憶って、3、4歳くらいですよね。娘が将来、覚えていないであろう日々。まだ『向こう側の世界』とつながっているような存在。策略なく、ただ本能のままに動いている時間。親と子が密な時間という意味でも特別。そんなことを頭の中でまとめてみたら、ああ、一冊になるかもしれないと思って」、写真集づくりがスタートした。



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