丸山ゴンザレスが目の当たりにした「海賊に船のエンジンを奪われる」異世界 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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丸山ゴンザレスが目の当たりにした「海賊に船のエンジンを奪われる」異世界

連載「カオスな現場の取材メモ」

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 世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
ミギンゴ島のご飯は意外においしい。それもそのはず、材料はおなじみのアレだから

ミギンゴ島のご飯は意外においしい。それもそのはず、材料はおなじみのアレだから


■おいしい異世界ごはん

 アフリカ東部・ビクトリア湖に浮かぶミギンゴ島が「異世界」であることは前回の記事を読んでもらうとして、今回はそんな島の暮らしの一端を紹介したい。

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 改めて述べるが、島の経済を支えているのは、漁師たちである。彼らが漁でとるのは「ナイルパーチ」という巨大な白身魚だ。スズキの仲間で、最大で約2メートル、200キロもの大物がとれたこともあるそうだ。

 とにかく大きなナイルパーチだが、日本人に非常になじみのある魚であることはあまり知られていない。実はのり弁当などに入っている白身魚のフライの多くが、このナイルパーチなのだ。日本だけではない。ヨーロッパではつまみの定番フィッシュ・アンド・チップスのフィッシュとして食されている。中華料理ではあんかけにして食べられる。アフリカの湖でとれた魚が世界中で売られているのだから、この島の漁師が稼げるのもうなずける。

 すでに味は知っているが、せっかくなので現地の料理を食べてみる。いくつか調理されているナイルパーチはあったが、私はそのまま干物にされていたのを食べた。調理されていないほうが本来の味がわかると思ったからだ。

 いざ食べてみると干しタラのような味で、ビールが欲しくなった。
漁師たちの憩いの場所にお邪魔した。彼らに話を聞いて注意されたのは海賊について。いったいどういうことなのか

漁師たちの憩いの場所にお邪魔した。彼らに話を聞いて注意されたのは海賊について。いったいどういうことなのか


■漁での注意点がカオスだった

 干物を分けてくれたのは、仕事を終えた漁師たちだった。彼らは酒を飲みながらギャンブルに興じていた。

 刹那的な生き方のようだが、ある意味、似合いの暮らしなのかもしれない。悪天候で毎年5000人が死ぬとも言われる危険な漁場を相手にしているのだ。その命がいつ尽きるかわからないのだから。

 そんな彼らに、「この湖で気をつけることはなにか?」と質問した。「天候だよ」と言われると思っていたが、返ってきたのは予想外の答えだった。

「いろいろ危ないけど、一番は海賊かな」

 さらに別の漁師たちが重ねてくる。

「漁の最中は現金は持っていないけど、エンジンとか奪われるんだよね」

「エンジンは売れば金になるからな」

 驚くべきは海賊がいることなのか、その略奪方法なのか。もはや現代の地球上のこととは思えない実態を目の当たりにした。やはりミギンゴ島は異世界である。

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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