■履修証明プログラムも開設し大学院の正規課程に進む人も
公共政策研究科は、さまざまな分野の科目でカリキュラムが構成されている。サステイナビリティ学専攻の教員は19人で、高田教授が専門とする自然環境のほか、行政学、法律学、経済学、環境科学、倫理学、文化人類学、理工学、医学、社会学、国際協力など文系・理系を問わず幅広い。そのなかから分野を超えて学べるのが特長だ。導入科目のサステイナビリティ研究入門では、毎回異なる教員の授業を受けることができる。
「1回の講義を受けるだけで何冊もの本を読むに等しく、100分の講義で膨大な知識を得ることができてお得だと思います。社会人のみなさんはいろいろな目的で入学され、仕事が終わってお疲れのなかで受講されていますが、とても高いモチベーションを感じます。鋭い質問も多く、私たちも違う角度からの問題意識に気づかされます」(同)
2019年からは公共政策研究科で「SDGs Plus履修証明プログラム」も開設している。大学院生でなくても研究科正規課程の科目が受講できる1年間のプログラムだ。22年度は約20人の社会人が受講した。
「大学院受験よりもハードルが低く、SDGsのような社会課題の解決のために専門的に学ぶための門戸を広く開く役割も果たしています。履修証明プログラムの修了後、修士課程に進む人も一定数います」(同)
学問の方法論を学ぶなかで、データの取り方やまとめ方、論文の書き方を身につけ、個人情報の扱いや協力者への配慮が必要なことも修得できる。
「研究活動で得たものを自分の立場で社会に生かしていきたいという強い意欲を持っている人に、ぜひ学びにきてほしいと思います」(同)
高田雅之 教授(たかだ・まさゆき)
法政大学大学院公共政策研究科長
1981年宇都宮大学工学部環境化学科を卒業。2004年北海道大学大学院地球環境科学研究科修士課程修了。2009年北海道大学大学院農学院博士後期課程修了。北海道庁、環境庁、国立環境研究所、北海道立総合研究機構などを経て、2012年から法政大学人間環境学部教授(現職)。主な研究テーマは自然環境政策、生物多様性、自然再生、湿地生態系、景観生態学など。
(取材・文 福永一彦)