ITなどの技術の進歩によって、働き方や仕事の内容は日々変化している。
その中で、キャリアをどのようにつくればいいのか。
ITや学びの専門家と学生が考える。
構成/株式会社POW-DER 原稿/松田明子
撮影/永田雅裕 イラスト/AKIKO デザイン/スープアップデザインズ
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ
企画/AERA dot. ADセクション
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AIなどのテクノロジーの発展は、今や指数関数的に増し、個人のキャリアへの影響は
避けて通れないものとなっている。一方、AIにもまだできないことがあるのも事実。
テクノロジーを味方につけ、キャリアを開くために大切なことは? 専門家と学生が語り合う。
座談会参加のみなさん
東京学芸大学大学院
教育学研究科 准教授
小宮山 利恵子 さん
早稲田大学大学院修了後、衆議院議員秘書、ベネッセコーポレーション等を経て、リクルートでスタディサプリ教育AI研究所所長。東京学芸大学大学院では「アントレプレナーシップ論」を担当。ICT教育領域のほか、五感を使った学びやアントレプレナーシップ教育についても幅広く活動。すし職人及び狩猟修業中。
総合学院テクノスカレッジ
東京工学院専門学校
情報システム科 大学コース 1年
津志田 奈実 さん
2024年、総合学院テクノスカレッジ(東京工学院専門学校)に入学。学生委員会グローバルチームでは2025年度のグローバルサブリーダー。将来はテクノロジーの力で、子どもたちへのより良い教育の提供を目指す。
総合学院テクノスカレッジ
東京エアトラベル・ホテル専門学校
ホテル科 3年
角田 真尋 さん
2023年、総合学院テクノスカレッジ(東京エアトラベル・ホテル専門学校)に入学。学生委員会活動等の活躍が認められ、2年次に学院長賞を受賞。「人に喜んでもらう」ホスピタリティーを提供したいと考え、ホテルスタッフを志望。
AERA編集長
木村 恵子
木村恵子(AERA) みなさんは、さまざまな経験を経て、現在の道を選ばれている印象です。まずは、今に至るまでの経緯を教えていただけますか?
小宮山利恵子さん(東京学芸大学) 私は母子家庭で育って、学生時代は経済的にも厳しい状況だったこともあり、全ての子供たちに平等に教育の機会を提供したいという思いが原点です。最初のキャリアは衆議院議員の秘書。法や政治がどうやって社会を変えていくのかを知りたいと思ったんです。その後、民間企業の会長秘書など数社を経て、教育とテクノロジーを本格的にやりたいと思い、今に至ります。
津志田奈実さん(総合学院テクノスカレッジ) 私はもともと小学校の教員になりたくて、教育系の大学を受けたのですが、残念ながら落ちてしまって。そこで一度立ち止まって考えたときに、現在の教育界には一教師では力が及ばない問題がたくさんあると感じ、ITの力を使えば、教育の現場をより良くできるのではないかと思いました。テクノスカレッジでは、二つの専門分野を専攻すること※1もできます。ITと教育を両方学びたいと思い、入学を決めました。
角田真尋さん(総合学院テクノスカレッジ) 私は小さい頃から、人と直接関わる仕事を目指していて、一度は別の大学の看護学科に進学しましたが、進路に迷いが出てしまい、1年半で退学しました。ただ、看護の分野で学んだホスピタリティーを軸に、より「人を喜ばせる」ことに焦点を当てた仕事に就きたいという気持ちが芽生え、ホテル業界を目指すことに決めました。テクノスカレッジは、ホテルの勉強をしながらも学士※1が取れますし、幅広い学科との交流もあるので、視野が広がりやすいと感じたことから入学を決めました。
※1 大学コースでは、テクノスの専門課程で学ぶと同時に大学の通信課程を履修し卒業時に学士を取得することができる。大学は5大学から選択、卒業までのサポートも充実している。なお、4年間で一つの専門課程を専攻するほか、2年間ずつ二つの学科を組み合わせて学ぶ 「Wメジャー制度」を選択することも可能。
自分の「好き」に敏感になる
木村(AERA) 思い描いていた方向へ進めなかったとき、次の道を見つけ一歩踏み出せたのはなぜですか?
角田(テクノス) 私は前の大学をやめる際に、「どうして自分が看護師になりたいと思えなくなったのか」、何度も自問して学び直す理由を見つけました。テクノスには学生主体のイベントがたくさんあり、参加する・しないを選択する場面も多いのですが、その時にも、いつも「理由」を持つことが重要だと思っています。小さな選択一つひとつに理由を持つことで、大きな選択も自然とできていくのかなと思います。
テクノスカレッジ図書館で
津志田(テクノス) 私は小学1年生の時からずっと教員を目指してきました。でも、受験に落ちて初めて、自分の「好き」をもっと広げてもいいんじゃないかと感じました。もともとパソコンをさわるのが好きだったので、ITを学んだら教育にもITの観点から関われる、「好き」と「好き」を合わせて仕事にできると感じたことから、未来を前向きに捉えられるようになりました。
小宮山(東京学芸) 私の働く軸は「教育」ですが、自分が楽しいと思ったことをどう仕事にひもづけられるかをずっと考えてきました。自分のワクワク感に敏感になることが重要だと思います。また、テクノロジーの進化で、誰でもしたいこと・好きなことを発信できるようになりました。私がWebで連載を始めた2014年当時は、教育分野にテクノロジーが入るなんて宇宙の話のようだと言われましたが、コツコツ発信を続けていたら、今実際にその時代が来ているわけです。行動と発信は、必ずセットで考える必要があると思っています。いくらいいことをしても、知られなければないものと同じだと考えているので。
アナログなことは人間にしかできない
木村(AERA) 今後、さらにAIなどのテクノロジーが進化すると、我々のキャリアはどのように変化していくのでしょうか。
小宮山(東京学芸) 生成AIの登場で、いわゆるホワイトカラーの仕事が代替される可能性が高まってきました。実際に私も、仕事で使うスライドなどは、半分以上を生成AIで作っています。となると、人間にしかできないことが、かえって重要になるはずです。
木村(AERA) 例えば、どんなスキルが重要になるのでしょう?
小宮山(東京学芸) 一言でいえば、「課題を発見する力」ですね。以前は「課題を解決する力」が重要だとされていましたが、AIがかなり担えるようになっているので、どこに課題があるのかを考え、問いを生む力が大切だと思います。また、私はテクノロジーの領域を追求すればするほど、五感やリアルの領域にも魅力を感じるようになって。興味が高じて、昨年からは、高級すし店ですし職人の修業を行っています。仕入れから仕込み、営業、清掃までを行う職人の仕事は、人間にしかできない部分がまだまだ多いと理解しました。
角田(テクノス) 私も、AIが新しいものを生み出すというよりは、人と人との関わりの中で新しいものが生まれるのだと思っています。その先にAIを活用していくという世の中になるのではないでしょうか。例えば自分の業界だけでなく、いろいろな業界に目を向けて、コラボレーションの方法を考えるなど、人と人が対峙して新しいものを生み出す視線が、AIにない人間の良さではないかと思っています。
小宮山(東京学芸) AIに難しいのは、「セレンディピティ(偶然の出会い)」。AIは学習されたデータからの抽出という範疇を超えないからです。例えば、ネット上の買い物や動画視聴でも、自分の好きなものしかリコメンドされませんよね。でも、角田さんの画面を見たら、違うおすすめが出ていて、そこにも自分の「好き」が見つかるかもしれません。人とのコミュニケーションが、貴重な出会いにつながることはあると思います。
津志田(テクノス) 教育にもテクノロジーの力が必要ですが、一方で、生身の人間に教えてもらうことで生まれる感情も大事だなと思っています。それぞれの人にいろんな価値観があることを念頭におきながら、異なる価値観の人に出会ったときにも否定せず、まずは話を聞いて、AIにはできないコミュニケーションを考えていくと、よりよく生きていけるのではないかと思います。
コンフォートゾーンを抜けて新たな世界へ
木村(AERA) 今後はどんな学び・経験がキャリアに生きると思いますか。
津志田(テクノス) 私は英語が苦手なのですが、もっと多くの人と関わりたいという思いで、テクノスでは、学生委員会※2のグローバルチームの活動に参加しました。インターナショナルウィーク※3では、外国の学生の方々との新しい出会いもありました。自分の「好き」だけではなく、苦手なことにも挑戦する姿勢が、今の成長につながっていると思います。
※2 学生たちが学年や学科を超えて協働し、学院祭やオープンキャンパスなど大小さまざまなイベントを自ら企画運営する組織。
※3 イギリスのオックスフォード大学やアメリカのニューヨーク州立大学など海外姉妹提携10大学の教授と学生たちが、テクノスに2週間あまり来校し、キャンパス内外で交流をはかる毎年恒例のイベント。
小宮山(東京学芸) 三つのポイントがあると思います。一つはコンフォートゾーンを抜ける体験を積み重ねること。例えば、いつもの通勤路と違う道を選ぶだけでも見える景色は変わりますよね。二つ目は、いろいろなコミュニティーに入ってみること。今はオンラインイベントもたくさんあるので、自分の興味があるものに気軽に参加できます。三つ目は先ほども申し上げたように、「発信する」ことです。
木村(AERA) 今はご自身もコンフォートゾーンを抜け、すし職人の世界に飛び込んでいらっしゃるんですね。
小宮山(東京学芸) 自分がリアルに体験して発信するのと、人から聞いて発信するのとでは全然違います。やってみなければわからないこともたくさんありますし、実際に体験したことはネットの情報よりもコモディティー化(一般化)しにくいです。オリジナリティーが高いので。それは自分の財産になると思います。
角田(テクノス) 看護系の大学での学びは、看護師になるための「知識」を身につけることにフォーカスされていました。一方、テクノスカレッジでの学びは、自分で主体的に勉強しに行く、経験を積みにいくという点が、大きく違うと感じています。さまざまな人とのつながりや、チームマネジメントの視点を持てたことも、ここでの経験が大きいと感じています。
小宮山(東京学芸) 私の人生を振り返っても、実践&実践だったんですよね。今、大学の教員として研究もしていますが、やはり現場がとても重要で、現場なしの研究というのはあり得ないと思っています。2人の話を伺って、これからも「実践」を大切にしていきたいと思いました。
調査によると、「AI でなく人間が対応した方が良い」と思う業務については、「最終意思決定」「医療行為」「従業員の採用」など、複雑な判断やノウハウが必要なものが上位となった。
楽天インサイト株式会社「AI に関する調査」2024年4月19日発表 調査期間:2024年3月7~8日 有効回答:20~69歳の男女495人 複数回答 上位10位までを掲載
参加者の津志田さんと角田さんが在学する総合学院テクノスカレッジでは、「卒後ビジョン」というキャリア開発メソッドを展開している。変化する社会や働き方を探究し、5 年後の自分のありたい姿を描き、それに基づいて学修計画を策定するというテクノスカレッジ独自のプログラムだ。学年が変わるごとにブラッシュアップすることで、常に社会の動きを意識した学び、キャリアデザインができる。
木村恵子の編集後記
テクノロジーは、視野を狭めることもあると同時に、生き方やキャリアにとって新しい選択肢を示してくれる、非常にプラスに働くものでもあると、改めて感じました。また、3人のお話に共通していたのは、固定観念にとらわれず、リアルな学びの場に飛び込んでみることの大切さ。出会いと経験がテクノロジーと結びついたとき、それが「ゼロイチ」を生み出すきっかけになるのだろうと思います。
社会が変化していく中で、必要な学びとは何か。
テクノスカレッジの取り組みについて聞いた。
総合学院テクノスカレッジ
エンロールメントマネジメント 統括ディレクター
井上 万成さん
情報メディア関連企業で採用人事や教育事業支援に携わった後、現職。大学や自治体、企業と連携した、独自のキャリア教育をマネジメントする。
「実践」をくり返す授業で
テクノロジーをより身近に
――社会の変化を見据え、テクノスカレッジの学びにも変化が生まれているのでしょうか。
井上 学生の進路の可能性をさらに広げるために、現在、ITリテラシーの共通科目化を進めています。全学生がIT関連の機材に気軽にふれることができる「ITラボ」も、開設間近です。また、「学習」の定着には「実践」が欠かせません。全学科対象の「TECHNOS ゼミ」では、企業や地域と共に、プロジェクト形式で問いを立て、課題設定から解決まで挑戦しています。実社会のリアルな問題と向き合い、学んだスキルを使って実際に課題解決を図ることで、テクノロジーもリアルに使いこなせる人材育成を目指しています。
「卒後ビジョン」が
キャリアづくりの
強い味方になる
――IT化の後押しもあり、「一本道」ではない、多様なキャリアが選べる時代にもなってきています。
テクノスカレッジ独自のキャリア開発メソッド「卒後ビジョン」は、個々の学生が、卒業して5年後のありたい姿を描き、自分ならではの学びと経験を計画するものです。社会や業界の変化や進化の探究が前提にあるため、急加速するテクノロジーの進化も的確に捉え、それを最大限に生かしたキャリアや学びを描くことができます。描いた卒後ビジョンは、「大学コース」「Wメジャー制度」「オックスフォード大学交流」などの多様な制度で、個性豊かな学びにつなげていきます。自分の「好き」を組み合わせて未来の可能性を広げ、自分らしいキャリアを追求していくことこそ、変化に富んだこの時代を生き抜くための、大きな力になると考えています。
「My VISIONシート」のダウンロードはこちら! ※pdfページが開きます。
プログラミング、統計データサイエンスといったテクノロジーの学びは、
学校教育においても存在感を増している。
そんな今だからこそ、必要な学びとは何か。専門家に聞いた。
ライフイズテック株式会社
取締役
讃井 康智さん
若者たちにITを学ぶ場所を提供したいという思いから、2010年に仲間と共にライフイズテックを創業。中高生が長期休みにITを学ぶ「キャンプ」をはじめ、教室やスクールを各地で展開し、次世代の学びをサポートする。
2025年から大学入学共通テストの科目に「情報」が入るなど、ITをはじめとするテクノロジーの学びは学校教育に欠かせないものとなりつつある。ライフイズテック株式会社の讃井康智さんは、今後はより多くの子どもたちが当たり前にITの仕組みを理解し、イノベーションをおこす時代になると話す。
「IT企業に就職する・しないという以前に、全ての分野にテクノロジーの知識が欠かせない時代になります。例えば農業をやるにしても、 ITの知識があれば、ドローンや衛星データなどを使いながら、より効率的な経営ができます。『IT×○○』といったかけ合わせができる人が、分野を超えて必要とされる人材になり、自分のやりたい仕事・行きたい会社を選べるようになります。今後は、テクノロジーの知識・スキルの習得レベルが、進路可能性や就業可能性に影響したり、人生に大きな変化をもたらしたりするということもあると思います」
男女ともに、クリエイティビティやデジタル技術が求められる仕事に人気が集まっている。
ソニー生命保険株式会社「中高生が思い描く将来についての意識調査2024」2024年7月25日発表 調査期間:2024年6月11 ~ 18日有効回答:男女各100人、 複数回答(三つまで) 上位5位までを掲載
まずは自分の興味を深掘りしてみる
Webや生成AIなどでほとんどのことが学べる時代になったからこそ、“自ら学ぶ力”をどう育んでいくかも重要になるという。
「まずは自分が学びたいこと、解決したいことを持つこと。それさえあれば、探究力や自ら学ぶ力は、おのずと引き出されるはずです。テクノロジーの学習でも、興味があることから始めるのが近道になるのではないでしょうか。そのためにも、課題設定を促す環境づくりが非常に大切だと思っています。
また、学習を進めていくうちに、壁にぶつかることもあります。そんな時に、学校や習い事など、リアルに質問できる場所やコミュニティーを持つことも非常に重要です。誰しも仲間と切磋琢磨することで、学びが深まったという経験はあるはず。私はそれを“フレンドシップドリブンな学び”と呼んでいます」
社会を変えるのは「心を動かす」力
「Webサイトを作る」というような簡単なアウトプットは、AIが一から一瞬で実行してくれるという時代。今後、人間にはどんな力が求められていくのだろうか。
「私たちは、三つの力を身につけた人材を育てていきたいと考えています。一つ目は問いを立てる力、つまり課題設定力です。まずは身近なところからでよいので、思い入れを持てるテーマを設定できること。それが本人ならではの強みとなります。二つ目は、いろいろなITツールやAIといったテクノロジーを活用できる力。三つ目は、その上で課題解決のアクションまで至れること。この三つ目が、特に大切だと思っています。例えば、AIが作るWebサイトは無機質なものも多く、本当に見た人の心が動く仕上がりかといえば、そうでもありません。仕事の場面で言うなら、クライアントの課題感や顧客特性まで理解した上で、相手のフィードバックも取り入れつつ、自分の思いを伝える――。そういったアクションがあってこそ、人の心を動かすものができるのではないでしょうか。本当の社会変化をつくっていくという意味で、アウトプットの先にある“アウトカム”まで持っていく。今後社会で求められていく、AIにはない力だと思います」
名城大学の付属校として1959年に創立。エンタメ・クリエーター系、スポーツ・教育、工学・情報などの分野を学ぶ東京工学院専門学校、エアライン、語学、ホテル、ブライダル、観光分野などを学ぶ東京エアトラベル・ホテル専門学校で構成され、ワンキャンパスに全30学科82コースを展開する。
東京工学院専門学校 0120-634-200
東京エアトラベル・ホテル専門学校 0120-634-300
〒184-8543 東京都小金井市前原町5-1-29
提供:総合学院テクノスカレッジ