同年はチームトップタイの9勝を挙げ、最後の輝きを放っている。

 巨人時代はレギュラーになれなかったが、新天地で素質開花したのが、08年のドラ1・大田泰示だ。

 松井秀喜の退団以来欠番になっていた背番号「55」を与えられた和製大砲も、在籍8年間で通算9本塁打と伸び悩み、16年オフに2対2の交換トレードで日本ハムへ。

“松井2世”と呼ばれることもなくなり、心機一転スタメン定着をはたした大田は、27歳の誕生日となった6月9日からの巨人3連戦で「いろんな思いはありますけど、1打席は変わらない」と古巣への特別な気持ちを封印し、10打数7安打2本塁打の大活躍。「必死さが良い方向に出る。一人でチームを引っ張った感じ」と栗山英樹監督を感服させた。

 19年にも誕生日(6月9日)の阪神戦で史上35人目の12球団本塁打を達成するなど、打率.289、20本塁打、77打点の好成績を残し、現在はDeNAでプレーする。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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