特に今季は佐野海舟(米子北高→町田→鹿島)、太田修介(日体大→甲府→町田→新潟)、半田陸(山形ユース→山形→G大阪)、河原創(福岡大→本→鳥栖)、馬場晴也(東京Vユース→東京V→札幌)など、J2経由でJ1デビューを果たした選手たちの活躍が非常に目立っている。彼らの強みは、ここに至るまでの実戦経験の多さにある。選手が成長するためには、試合に出場することが最も重要であることは周知の事実。付け加えるなら、控えの立場ではなく、チームの主力として週1回以上、試合に出場すること。そこでトライ&エラーを何度も繰り返し、心身ともに力強くなっていく。

 この30年、Jクラブユースも紆余曲折と試行錯誤を繰り返しながら一定の育成力を発揮してきた。カタールW杯で高体連出身者の数をJクラブユース出身者が上回ったことからも成果は出ており、今季もすでに山本桜大(柏)、越道草太(広島)、松長根悠仁(川崎)、俵積田晃太(FC東京)、熊田直紀(FC東京)のトップ昇格1年目の選手たちがJリーグデビューを飾っている。その下部組織での育成を主軸としながら、そこに「高体連」、「大学」、「J2経由」が加わった現在の日本サッカーの育成ルートは、実に多様性に富んでいる。“どれが正解”ではなく“どれも正解”の中で、世界を驚かせる魅力的な選手の誕生に期待したい。(文・三和直樹)