記憶に新しいのが、相澤晃 (東洋大、2020年卒)だ。大学2年時に箱根2区で3位に入ると、3年時は4区で区間新の快走で東洋大の2年連続往路優勝の立役者になると、主将&エースとなった4年時は、出雲、全日本、箱根とすべてで区間新記録を樹立。集大成の箱根では、2区で7人抜きの驚異的な走りを見せた。そして卒業後、旭化成に入社してからも勢いは止まらず、2020年12月の日本選手権で1万メートルの日本記録を樹立し、東京五輪にも出場(17位)した。ニューイヤー駅伝では、2021年、2023年と故障で欠場したが、2022年は3区で8人抜き&区間賞の走り。日本長距離界の未来を担う男は、2024年のパリ五輪まではトラックで勝負する意向を示している。

 こうして振り返ると、まだ不十分ではあるが、長距離界の“革命児”とも言われる大迫傑を筆頭に「箱根から世界へ」は確実に体現されつつあると言える。今後のさらなる活躍が期待される相澤晃、そして田澤廉……。彼らは大学在籍時から卒業後を意識し、「世界」を見据えたトレーニングを積んできた。箱根駅伝の存在価値を今以上に高めるためにも、今後より多くのランナーが箱根を足掛かりにして「世界」へと羽ばたく必要がある。すでに、その候補者は多くいる。