早稲田大学時代の大迫傑
早稲田大学時代の大迫傑

 2023年新春の箱根駅伝を制し、史上5校目の学生駅伝3冠を達成した駒澤大。その“最強チーム”の大黒柱が、大エース・田澤廉だった。この3月で卒業した田澤は今後、トヨタ自動車に所属しながら、引き続き大八木弘明総監督の下でトレーニングを続けてパリ五輪を目指すことになっている。果たして「箱根から世界へ」を体現することができるのか。新時代の幕開けを期待する前に、近年の“箱根エース”たちの卒業後を検証したい。

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 今から11年前に大学を卒業したのが、「二代目・山の神」と呼ばれた柏原竜二(東洋大、2012卒)だった。4年連続で5区区間賞を獲得してチームを3度の総合優勝に導き、自身も大会MVPに当たる金栗四三杯を3度受賞。当然、卒業後も大きな期待と注目を集めた。だが、富士通入社後はタイムを伸ばせず、3度出走したニューイヤー駅伝は、2013年6区4位、2015年5区7位、2016年5区9位。フルマラソンでもベストタイム2時間20分45秒と振るわなかった。度重なる故障に苦しんだ中で2017年4月、27歳で現役から退いた。平地への適応力不足なども指摘されたが、それ以上に「重圧」に苦しみ続けた卒業後の競技生活だった。

 その1学年下には、出岐雄大(青山学院大、2013年卒)がいた。原晋監督が「今まで見てきた中で歴代最高レベルの天才」と称した才能の持ち主。大学3年時の全日本、箱根で区間賞の走りを見せ、4年時の出雲では青山学院大初優勝のゴールテープを切るなど、常勝軍団の礎を築いた。卒業後は中国電力に入社し、2014年のニューイヤー駅伝でアンカーを務めると、2015年の都道府県駅伝では最終7区で区間賞の走り。2015年7月のゴールドコーストハーフマラソンでは1時間02分11秒の自己ベストで優勝を果たした。しかし、2016年2月の東京マラソンで2時間15分49秒の26位に終わると、その直後に25歳で現役引退。「目標が見つけられない」、「走ることが嫌いになった」とモチベーションの低下を理由とした。

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「箱根のスターは大成しない」を覆したのは?