一方でトレード相手の田口はヤクルトで大活躍。昨季はリリーフとして45試合に登板して2セーブ18ホールド、防御率1.25の好成績を残してチームの2連覇に貢献した。グラウンド外でもムードメーカーになるなど、今や欠かせない存在となっている。

「田口がいなかったらヤクルトの優勝はなかった。相手の右、左打者関係なく抑えることができるサウスポー。球威があり変化球のキレも素晴らしい。登板後もベンチに残って盛り上げてくれる。頼りになる素晴らしい男が来てくれて感謝しかない」(ヤクルト関係者)

 これまでのところは田口の活躍が目立つが、廣岡も今季で26歳とまだ若く飛躍の可能性を秘めている。智弁学園時代は現在チームメイトで1学年上の岡本和真が3番、廣岡が4番を打っていた時期もあり、ポテンシャルの高さは折り紙付き。今季以降の“大化け”を期待したいところだ。

「技術、身体能力など持っているものは素晴らしい。プロ選手の中でもトップクラスのものがある。打撃練習での飛距離、守備での柔らかいグラブ捌きなども良い。肩も強くて俊足でもある。なぜ活躍できないのか、こちらが知りたいほど」(在京球団編成担当者)

「侍ジャパンクラスの選手になれる」と球界関係者の多くが口を揃える好素材。しかし結果が出ないことで、持ち前の豪快なプレーが見られなくなっているのは気がかりだ。打撃では中途半端なスイングが目立ち、守備では何でもない簡単なミスも出てしまっている。

「真面目な選手なので、周囲の声を真に受け過ぎているのかもしれない。追い込まれると当てに行く打撃をする姿も見られた。『三振で良いから振れ』という声も聞こえていたほど。そういうことが守備にも影響しているのかもしれない。開き直って思い切りやって欲しい」(ヤクルト関係者)

「廣岡は向こうっ気が強い。気持ちの部分は岡本よりも強い」。高校関係者が認めたほどのメンタルが、プロに入って崩れつつあるのかもしれない。マスコミ、ファンなど周囲の声が騒がしい巨人では、ヤクルト時代以上に苦労が大きいはずだ。

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首脳陣は廣岡の飛躍に期待