パ・リーグの投手ではやはり田中将大楽天)が気になるところだ。日本に復帰した昨年は4勝9敗と大きく負け越し、今年は9勝12敗と勝敗は改善したものの、データ的には悪化している指標は少なくない。ストレートはまだ150キロを超えることも珍しくないが、打者を圧倒するような勢いは感じられない。

 決め球のスプリット、スライダーも今年はホームランや長打にされるシーンが多かった。日本復帰後も2年続けてローテーションを守っているのは立派だが、多くの貯金を期待するのは難しいというのが現状だ。日米通算200勝まであと10勝に迫っているというのはモチベーションの面で大きなプラスだが、大記録達成後にもローテーションの中心として活躍するには、さらなる緻密さが必要になるだろう。

 セ・リーグの野手で重要なシーズンとなるのが秋山翔吾(広島)だ。西武では2015年以降の5年間で4度最多安打のタイトルを獲得するなど抜群の安定感を誇ったが、メジャーでは成績を残すことができずに今年6月に広島で日本球界に復帰。広島で初スタメンとなった7月8日の中日戦ではいきなり2安打を放ったものの、その後はもうひとつ調子が上がらず、44試合の出場で41安打、打率.265という寂しい数字でシーズンを終えた。

 打撃ももちろんだが、それ以上に気になるのが守備力と脚力の低下だ。球際の強さは健在だが、西武でレギュラーを獲得した頃と比べても明らかに守備範囲は狭くなっており、盗塁も今シーズンは0に終わっている。ホームランを量産するタイプではないだけに、脚力の衰えがプレーに与える影響は大きい。球団としては2000本安打達成をバックアップすると言われているが、今年のような状態が続くようであればレギュラーの座は決して安泰ではないだろう。

 パ・リーグの野手では鈴木大地(楽天)の名前が挙がる。2019年オフにFAロッテから移籍し、2020年にはキャリアハイとなる打率.295をマークしてベストナインとゴールデングラブ賞にも輝いたが、今年はレギュラー獲得後最低となる105安打、打率.257という成績に終わった。

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今でも“一線級”のベテランも