今回のアンケートでは、「内申点を上げるために気をつけていること、努力していること」を聞いているが、回答のなかに、「部活動に取り組む」(奈良・中3女子母)というコメントがかなりあった。ところが実際は「(全国)いずれの公立高校においても、単に部活動に加入していることをもって入学者選抜において加点している例はない」(2017年度文科省調査。かっこは筆者)ことがわかった。部活での「成績」は加点されることがあるが、「加入」だけでは加点されない、ということだ。

「PTAに参加しないと内申点が下がると聞いた」(東京・中1男子父)というコメントもあった。しかし、受験校側の視点で考えれば、これは「都市伝説」といえよう。

 内申点は入試の現場でどのようにつけられていくのか?

 取材したさいたま市立大宮北高校の教員、國井翼さんと待谷亮介さんは、以前、中学校に勤務していた。つまり、内申書を「書く」立場と、内申点を「つける」立場の両方を経験している。

 2人の話によると、中学校から提出された内申書はテストの採点をするように、内申点がつけられていく。「決められた項目しか見ません。本当にすごいペースで進んでいきます」(國井さん)。

 内申書を点数化するシステムは厳格で、そこに「あいまいさ」が存在する余地はない。

 なので、「我が校の内申点をつける過程を全部開示しても、何の問題もないでしょう。こういう基準でつけましたと、すべて説明できますから」と、待谷さんが言うと、少し離れた席で新川健二教頭も「全然問題ない」と、うなずいた。

■意外と少なかった正攻法

 では、アンケート結果について、分析を挟みながら読み解いていこう。

 まずは「高校入試に向けて、内申点を意識していますか」という質問。「はい」が72.6%、「いいえ」が27.5%。やはり、内申点を意識している保護者は多いことがわかる。

「はい」と答えた人に「内申点を意識し始めたのはいつですか?」と尋ねたところ、「中学1年次」が最も多く、31.0%。次に多かったのは「中学入学前」で18.7%。「中学2年次」はほぼ同じ17.4%だった。

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内申点は入試にどの程度影響?