写真はイメージ (c)GettyImages
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 多くの高校受験生や保護者にとって「内申書」は気になる存在だ。内申書の内容や加点の基準を生徒や保護者に開示していない学校も少なくない。そのため、「こうすれば内申点が上がる(下がる)」といううわさをよく耳にする。AERA dot.とYahoo!ニュースは、中学生の子どもを持つ保護者を対象に、謎多き「内申書」について共同アンケートを実施し、2000人から回答を得た。そして、それを現職教員に見てもらって、保護者に広がる内申書の「うわさ」の真偽について、聞いてみた。※後編「中学の5段階評定は本当に『平等』なのか? 現役教師と読み解く『内申書』のギモン」に続く

【こんなにも違う!公立校入試の内申書の比率はこちら】

(調査は10月20日に実施。対象は中学生の保護者でYahoo! JAPANユーザー2000人。男女比は6対4、年代は30代が15%、40代が52%、50代が26%。子どもが通う学校の種別は公立89%、私立9%、国立2%)

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 今回、筆者はアンケートの回答をもとに文部科学省、教育委員会(広島県)、そして現職教員(さいたま市)に取材すると、いずれからも明快なコメントが得られた。「内申書」という存在がよくも悪くも誤解され、「都市伝説」に近いうわさがあることも実感するに至った。

 そもそも、内申書とは何だろうか。

 実は内申書には、そのもととなる「指導要録」と呼ばれる書類がある。中学校の教員が生徒一人ひとりの教科・科目の「学習の記録(5段階の評定など)」を記すほか、部活動や生徒会活動などについて記入する「特別活動の記録」などの欄がある。高校受験の際には、この指導要録の「写し」を生徒の受験校に送付する。これが「内申書」(正式名称は「調査書」)だ。一方、生徒と保護者に伝えるものが「通知表(通信簿)」である。

■PTAで内申点が上がる?

 内申書は中学校が作成するものだが、その内容を点数化し、いわゆる「内申点」をつけるのは、受験する高校の側である。

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内申書の「都市伝説」