■75%が学校から説明なし

 保護者の回答から浮かび上がってきたのは、内申書に書かれる内容や内申点の配点について「よく知られていない」という実情だ。

 それを裏付けるのが次の「内申点をつける際の基準について学校からガイダンスなどで説明されたことはありますか?」という問いである。「はい」は24.8%にすぎず、「いいえ」は75.2%だった。

 よくわからないものに対して人は不安を抱きやすい。それは、内申書についても同じで、不満や疑問も寄せられた。次の項目については、複数回答で答えてもらい、全体に占める割合を示した。

「同じ学校でも、先生によって内申点のつけ方に差があると思う」は57.5%。「内申点をつける基準があいまいだと思う」は46.6%。「先生との相性が内申点に影響すると思う」は40.7%。「部活動、生徒会活動、ボランティア活動が内申点に影響すると思う」は37.1%。「同じ地域でも、学校によって内申点のつけ方に差があると思う」は36.0%。これらに「当てはまるものはない」は7.9%だった。

■内申書で生徒を脅す?

 今回のアンケートで最も意外だったのはこれに続く質問に対する回答だった。

「内申点を高校入試に活用することに賛成ですか、反対ですか。理由もお答えください」――「賛成」59.1%、「反対」40.9%。内申書に対する不満や疑念の声がこれだけ溢れたにもかかわらず、賛成が反対を上回った。

 内申書に賛成する理由としては、こんなコメントが目についた。

「生徒をコントロールするツールとして」(愛媛・中1男子父)、「内申点があることで、ある程度風紀を乱す生徒を抑止できる」(東京・中3女子母)

 これに関連した問い、「先生から『内申書に書く』『内申点に響く』と言われたことはありますか?」に対しては、約1/4の保護者が「はい」と回答した。

 しかし、中学校で進路指導主事を務めたことのある待谷さんは、こう指摘する。

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内申書は生徒のよい点を書くもの