■帰国後に感染爆発は考えにくい

 それでは日本が海外のようにマスクを外して社会経済活動の再開をするとどうなるのか。

「マスクを外して社会経済活動を回すと、ハイブリッド免疫を獲得する人は増え、社会全体では免疫力を高めることになる。経済も活発になるでしょう。他方で、前のめりになりすぎると、短期間に感染者が急増し、多くの高齢者が亡くなる可能性がある。政治家は議論したがりませんが、ポストコロナ社会に向けて犠牲を払いながらハードランディング(強硬着陸)するのか、徐々にソフトランディング(軟着陸)するのかが問われている」(堀教授)

 となると、大勢の人が集まり、マスクをつけずに試合を観戦すると、やはり感染するリスクが高くなるということだ。SNSでは<帰国後に感染を拡大させる>といった懸念の声も上がっている。

 堀教授はこう指摘する。

「現地で感染する人もいるでしょうが、帰国後に日本で感染爆発を引き起こすような人数ではないと見ています。現在、海外から1日1万人以上が入国していることを考えれば、W杯からの帰国者は微々たるものでしょう」

 日本にマスクなしで観戦ができる日は、いつくるのか。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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