キャンプ場で迎える朝は格別のはずが……(写真はイメージ/GettyImages)
キャンプ場で迎える朝は格別のはずが……(写真はイメージ/GettyImages)

コロナ禍を経て「キャンプブーム」は加速し、観光庁「旅行・観光消費動向調査」によると、2021年の国内宿泊観光・レクリエーション旅行におけるキャンプ場利用率は6.5%と、2020年から2.4ポイント増となった。しかし、最初は自然を満喫していたはずが、いつしかキャンプから距離をおくようになってしまった人も、いったい何が?

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 四国にある某人気アウトドアブランド運営のキャンプ場。清潔なトイレにシャワーもあり、キャンプ初心者でも安心して楽しめるキャンプ場とあって、全国からキャンパー達が押し寄せる人気スポットだ。

 記者も「物は試し」と、昨年初めて、そのキャンプ場でテント泊を経験した。なるほど、不便さも非日常の中とあれば、楽しいアクティビティになる。焚き火を起こし、その火を使って料理し、自然の中で食べるご飯は格別だ。家を出る時には「なぜこんな大荷物を持って、わざわざ外で料理して、体が痛くなりそうなテントで寝ないといけないのか……」と少々憂鬱な気持ちもあったのだが、火を囲み、星空の下でお酒を傾ける頃には、しみじみ「来て良かった」という気持ちになっていた。

 そんな中、強い印象として残ったのが、展示場さながらのキャンプ場の光景だ。よく見ると、テントや焚き火台、テーブルや椅子、食器類に至るまで、キャンプ場の運営元でもある人気アウトドアブランドで固めたキャンパー達が勢揃いしている。照明や飾り付けにまでこだわり、オシャレな雰囲気を演出。

 特に印象的だったのが、飾り付けてライトアップした自分たちのテントを、さまざまな角度から撮影し、たくさんの道具をこれでもかと並べていた一団。周囲のテントやキャンプ道具を観察しつつ、批評して周っていた姿からも「相当、道具に詳しそうだ」と思った。

 同じブランドで固めているグループが多いだけあって、「自分の道具より高いか安いか」も一目で分かるようだ。キャンプには、“道具の見せ合い”とも言える側面があることを知った。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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テントでまさかの掃除機!