内臓の病気が原因で皮膚に症状が出ることがあり、そういった病気が疑われる場合、皮膚科に他の診療科から検査の依頼が来ることがあるといいます。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、内臓の病気などで他の診療科から依頼を受けて皮膚の検査をする四つの皮膚疾患について解説します。

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 皮膚疾患の特徴として、検査が比較的簡便ということが挙げられます。目で見え触ることができるため診断はしやすいですし、必要とあらば皮膚の一部をとって検査に出すこともできます。これが内臓の病気となると話がかわり、臓器の一部を切り取って検査に出すのも大変です。そのため、内臓に起きた病気の確定診断のために、皮膚の検査をする場面があります。今回は、内臓の病気などで他の診療科から依頼を受けて皮膚の検査をする四つの皮膚疾患を紹介したいと思います。

■乾癬

 乾癬はアトピー性皮膚炎と並んで皮膚に多く見られる疾患です。全身の皮膚に銀白色のフケを伴う赤色の皮疹が広がります。皮膚の症状が強い場合は、直接皮膚科を受診される人が多いですが、そうでない場合もあります。乾癬は関節の痛みを伴うことが多く、皮膚の症状が軽度の場合もあります。その場合、整形外科などで検査しても原因がわからず乾癬の可能性について皮膚科に診察依頼が来ます。患者さんも関節の痛みと体にできた発疹が関係しているとは思わず、どちらの症状も別々の病院で見てもらうケースもあります。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

■サルコイドーシス

 サルコイドーシスは、全身の臓器に炎症細胞が集まり肉芽腫という状態をつくる病気です。肺や眼、心臓などにこの肉芽腫を作ることが多く、胸のレントゲン写真で肺に病変が見つかり、サルコイドーシスが疑われる場合があります。臓器の一部をとって、前述の肉芽腫を見つければ確定診断なのですが、肺や心臓といった臓器から検体を採取するのはかなり大変なことです。そこで、肉芽腫ができやすい皮膚の病変から検査を出すことになります。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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肘や膝などに傷の痕のような病変