“妖艶さ”も漂わせる31歳の浅田真央
“妖艶さ”も漂わせる31歳の浅田真央

「本当はパートナーがいるストーリーだったのですが、現役時代には私一人で滑っていた、というのは自分の中でありました。『いつかアイスショーでパートナーと一緒に滑りたい』というイメージがあったので、それを今回ショーで取り入れました」

 再び『シェヘラザード』を滑る31歳の浅田は妖艶で、プログラム全体がどのように見えているかを常に意識して滑っている余裕を感じさせた。約10年にわたって温めてきた、パートナーと組んで滑る『シェヘラザード』のイメージを実現させたことに、内に秘めた意志の強さを感じずにはいられない。

 公演後、ラストナンバーの衣装を身に着けたまま取材に応じた浅田の表情は晴れやかだった。

「これまでいろいろなことがあったのですが、こうして無事に初日を迎え無事に終えることができて、今はもう思いがあふれ過ぎて言葉にならないほど、感動しています。こういう状況の中ではあったのですが、多くの皆様が会場にお越しくださって、本当に最高の公演となりました」

「チームのメンバーとは去年の11月から練習を始めて、いろいろなことがあって、みんなで泣いたり笑ったりして乗り越えてきました。みんなのチーム力、底力というのは、本当に私達にしかないチームワークだと思うので、そういったパワーもこの『BEYOND』の魅力だと思います」

『BEYOND』の座長・浅田真央は、強い絆で結ばれたメンバーと共に、来年3月まで日本中を巡る旅に出ようとしている。(文中敬称略)

(文・沢田聡子)


●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」