新型コロナウイルスの感染は第7波を迎え、過去最高の感染者数となりました。そんな中、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師も7月前半に感染。大塚医師が自らの体験を語ります。

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 7月の前半、私は新型コロナウイルスに感染し自宅療養を行っていました。今回はその体験を記したいと思います。

 感染前、学会や研究会の出張が続き、あちこちと日本中を飛び回る生活をしていました。移動時は必ずマスクを着用し、繁華街での飲食は避けるようにしていました。それでもコロナに感染してしまいました。

 体の異変はダルさからはじまりました。

 病院での勤務を終えた帰り道、いつも以上の疲労感を覚えたのが最初です。

「働きすぎかな?」

 出張が多かったので倦怠(けんたい)感はそれくらいにしか思えませんでした。

 その夜、布団に入ると寒気を感じましたが、エアコンの利きすぎかと思いやり過ごします。念のため測った体温も正常範囲内でした。

 明らかな症状が出たのが翌日の夜中です。

 激しい喉(のど)の痛みに襲われ、何度か目を覚ましました。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 明け方には関節痛が出現したため、「コロナでは?」と思い、勤務先の病院でPCR検査を受けたところ陽性との判定でした。

 高熱が出ることはなかったのですが、37度代前半の微熱と喉の痛みはつらいものでした。唾(つば)をのみ込むのも痛く、当然食事は喉を通りません。水を飲むのもやっとという感じです。

 また、痰(たん)も喉に絡むため咳(せき)が出ると息が苦しく、このまま呼吸ができなくなるのではないかと思い不安になりました。

 自覚症状が強かったものの、咳もそれほど激しくなく、軽症の分類に入ることは自分でもわかりました。おそらく周りの人間から見たら、私の苦しみ具合は中等症以上だったように映るでしょうが、医学的には軽症です。このあたりに一般の人と医療従事者の認識の違いがあるように思います。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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喉の痛みは4日間ほど続く