子宮筋腫の分類
子宮筋腫の分類

 38歳の女性は、不妊治療に訪れたクリニックで5センチ大の粘膜下筋腫が発見された。筋腫の経過をみつつ約2年間不妊治療を続けた後、体外受精を予定したが、筋腫が不妊の原因である可能性があったため、クリニックの医師の紹介で田畑医師を受診。「年齢的にも、早めに筋腫を切除して体外受精に臨みたい」という女性の希望で、腹腔鏡による筋腫核出術をおこなった。

 このように、治療することで妊娠につながるメリットもある。ただ、全ての筋腫が不妊の原因になるわけではなく、手術をするかどうかは筋腫の種類や場所、大きさなどによる。また、「手術にはリスクもある」と田畑医師は話す。筋腫を切除することで、子宮には傷がつく。そのダメージにより、その後妊娠して子宮が大きくなったときに子宮破裂が起こるリスクがあるため、筋腫切除後の出産は帝王切開になる。

「腹腔鏡手術の普及により手術は小さい傷でできるようになりつつありますが、おなかの傷は小さくても、子宮の傷が妊娠・出産に影響をおよぼすこともあります。筋腫切除後の妊娠は注意深く経過をみることが必要ですし、患者さんもリスクを十分に理解した上で選択することが大切です」(田畑医師)

 また、妊娠して初めて筋腫が見つかることもある。筋腫があまりに大きい場合は早産になりやすい可能性があり、子宮の出口に近い位置にある場合は胎児が通れないため帝王切開となる。筋腫は女性ホルモンの影響で大きくなるため、妊娠中は大きくなりやすいが、原則として妊娠中は筋腫に対する治療はおこなわず、経過観察となる。

「問題なく筋腫と赤ちゃんが共存し、出産を迎えることも多いです。きちんと経過をみていけば、あまり心配しすぎることはないでしょう」(同)

(文・出村真理子)

※週刊朝日2022年7月29日号より