ケイリーンさんいわく「欧米にないもの」のもう一つが、グリルのついたテーブル。初めてのお好み焼きは彼女にとって「新鮮な経験」だったそうです
ケイリーンさんいわく「欧米にないもの」のもう一つが、グリルのついたテーブル。初めてのお好み焼きは彼女にとって「新鮮な経験」だったそうです

「あまりリアリティーから離れることはないですが、実物の色はもう少し鮮やかだったとか、ここの部分がすごくおいしかったからもうちょっと目立ってほしいとか、そういう意識はちょっとだけ加えながら描いていますね。資料写真は、私のイラストのでき具合の半分くらいを占めると思う。だからネットの人の写真から絵を描くことはせず、自分で写真を撮ってイラストのベースにします。リサーチしたその店やメニューのストーリーも隠し味になるのか、実際行って食べてみるとだいたいがすごくおいしくて、あ、これにしてよかったと思うことがほとんどです」

これが、鰹節の幅(!)や踊り具合を電話で聞きまくってたどり着いたTeppan職人のミックス天。お店では、プロの職人が目の前で焼いてくれる
これが、鰹節の幅(!)や踊り具合を電話で聞きまくってたどり着いたTeppan職人のミックス天。お店では、プロの職人が目の前で焼いてくれる

 例えば、今回の本に収録されたなかで特に思い出深いメニューは、東京・錦糸町「Teppan職人」のミックス天(1380円)だ。できたてのお好み焼きにマヨネーズのストライプをシュッシュと描き、最後に鰹節をトッピング。まるで薄い鰹節がお好み焼きの上で踊っているような様子に驚いて、心をがっちりつかまれた。アメリカにはない、テーブルで客が調理するという日本独特のレストランで、目の前で繰り広げられるこの動きを何とかイラストで表現したいと、あちこちのお好み焼き屋さんに、「『鰹節の幅はどれくらいのサイズですか?』『よく踊りますか?』など、電話で聞きまくって決めました」

(福光 恵)

※記事後編<<米国人フードイラストレーターが一番リピートしたのは「ほかほかご飯と冷たい漬物」その理由とは >>へ続く