昨年の菊花賞と今年の天皇賞(春)を制して国内最強ステイヤーの座を不動にしたタイトルホルダーのオッズは21倍から26倍ほど。アレンカーや昨年の仏G1ガネー賞勝ち馬で今年6月に仏G2シャンティイ大賞を快勝したマレオーストラリスあたりと並ぶ評価だ。

 凱旋門賞はスタミナが要求されるタフなレースではあるが、欧州の長距離路線を主戦場とするステイヤーが活躍するレースとは言い難い(そもそもそうした馬たちはほとんど出てこない)。近年では英ゴールドカップ(20ハロン)の勝ち馬オーダーオブセントジョージ(2016年に3着、17年は4着)、英セントレジャー(芝14.5ハロン)を制したハリケーンレーン(21年に3着。ただし12ハロン実績も豊富だった)が目立つ程度か。

 日本から参戦したステイヤーたちも、三冠馬のオルフェーヴルを除けばヒルノダムール(10着)、ゴールドシップ(14着)、サトノダイヤモンド(15着)、フィエールマン(12着)、キセキ(7着)、ディープボンド(14着)と苦戦が続いている。さらに凱旋門賞では逃げて勝つのは至難の業(最後の逃げ切りは1996年のエリシオ)。タイトルホルダーとしては、次走予定の宝塚記念で中距離でも通用するスピードと持続性をあらためて証明しておきたいところだ。

 サウジアアラビアのG3レッドシーターフハンデキャップにG2ドバイゴールドカップと海外重賞を連勝したステイフーリッシュは、上記3頭とはやや離れて前売りオッズ34倍前後。ナカヤマフェスタとオルフェーヴルで凱旋門賞2着3回というステイゴールド産駒だけに一発の期待はあるが、こちらもタイトルホルダー同様にクラシックディスタンスへの適性がネックとなるか。

 これから季節は夏に入り、欧州ではエクリプスSやキングジョージなどで3歳馬と古馬の世代間対決が本格化。日本でも宝塚記念の結果次第で凱旋門賞に挑戦する顔ぶれが決まってきそうだ。数カ月後には勢力図に変化が生じているかもしれないが、その際はあらためて最新の展望をお届けしたいと思う。(文・杉山貴宏)